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第二十一話 首都潜伏

長い道のりの末、首都アルテリアに到着する、ファビアとシリウス。


道中の警備はさほど厳しくなく、難なく市街地に入る。

人で賑わう大通りで、二人立ち尽くす。

さすがの大都会!


大通りの両脇には、果てしなく続く露店。

店の軒先に並ぶ、カラフルな食べ物。

勢いよく人を呼び込む声は途切れる事がない。


ファビアが周りを見回してつぶやく。

「すげえな……」

シリウスが制する。

「あんまキョロキョロすんなよ!怪しまれるぞ。それから……これから、どうするんだ?」

「え……ええ……と……」

まさかのノーアイディア!

でもまあ、そうだよね。


気を取り直して、シリウスがささやく。

「とりあえずは宿だ。拠点がいる。」

わずかだが、銀貨がある。

シモンズが女王から賜った、かぼちゃの種の箱。

その底に忍ばせてあった銀貨を、シモンズはファビアに託していた。


シリウスは必死に考えを巡らせる。

絶対に、帝国に悟られてはいけない!慎重に…


振り返ると、ファビア、おっきな口を開けて、串に刺さったパイナップルの切れ端を頬張ろうとしてる!


「ちょっと待て!いつの間に買い食いしてんだよ!」

「ふがふごふご」

女王様から託された銀貨は、パイナップルに……


「ング……モグモグ……うまいな!これ!」

結局、シリウスもつられて買い食い。

しかも、ぼろぼろの服、背中にはおっきな旅の荷物。超目立ってるんですけど……


そんなこんなで、一行は中央の広場に進み出る。道端には、大道芸人が立ち並び、芸を披露する。その一角に、一際大きい人の輪があり、大きな歓声が上がっている。


もの珍しさに、ファビアとシリウスも覗き込む。その中心にいたのは、純白の虎と、虎使いの芸人。

その時!

ファビアは、思わずパイナップルを落としそうになる!

もったいないから、落とさないけどね。


くるんと端が丸まった口髭に、白と赤の鮮やかなフェイスペイント。

「カ……カルロス!!」

シリウスも思わず叫ぶ。


カルロスだ!エレニア王国の収穫祭、先頭を飾る、エレニア随一の虎使い、カルロス!


……!!

芸の最中、カルロスの目にも、奇妙な身なりの二人が目に入る。あれは……確か、偉大なるファルカン将軍の息子、ファビア様!


思わず立ち尽くすカルロス。

ガブリ!

その時!純白の虎、名はティグレ。カルロスの肩口に噛み付く!

ボーっとしてんじゃねえよ!とその眼が語ってる……ように見える。ティグレは、芸にとっても厳しいのだ。


「いたたたた……」

動揺しながらも、何とかステージを終えるカルロス。一通り観客への挨拶をすませた後、ファビアの元へ駆け寄る。


二人は抱きあって、再会を祝う。

「カルロス!こんな所で出会うとは!」

「ファビア様!ご無事で何より!」


シリウスが、二人の肩をトントンと叩く。

「あの……めちゃ目立ってるんで、どっかで落ち着かない?」


確かに、彼らの周りにも人だかりが……

絶対に、帝国に、見つかってはいけない!

とか言ってたでしょ!



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