表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/25

第十六章 ビアンカの名を冠して

北の大地、冬枯れの旅団が拠点とする村に辿り着いたエレニアの旅団。


ファビアとシモンズは今後の事を話し合い、この村で力を合わせて暮らしていく事を確認する。


シリウスはさっそく、生き延びた23名の仲間を再編し、役割ごとのグループとリーダーを決める。

サルバドールと、ニコルを失ったが、半年の旧拠点での生活を経て、二人の知識は十分に受け継がれている。


それから、さらに時が過ぎ……

3回ほど冬を越しただろうか。


エレニアの民の技術と知識は、村の暮らしを劇的に変える。特にヤザン、ルバートの狩猟、農耕の技術は村の食糧事情を改善し、冬でも飢える心配がないくらいの蓄えを得る。

サルバドールの役割を継いだ、ラガルトという青年も建築に奮闘し、冬の嵐に耐える堅牢な住居をこしらえる。

ニコルの役割を継いだ、マリーという女性はエレニアの郷土料理を持ち込み、食卓に彩りを添える。

そして、彼女はニコルに代わって、ニコラスの成長を見守る。


村の長であったシモンズは、エレニアの民の献身に感謝し、ファビアは自分たちを受け入れてくれた事に感謝する。

両者の絆は、村に大いなる発展をもたらす。


そんなある日、シモンズが提案をする。

「この村には、名前がないのです。」

ファビアははっとする。

「そういえば。冬枯れの旅団、は女王ビアンカが勝手に付けた名前だし、村の名前っぽくない…」

「我々は落ち延びてきた日から、その日暮らしに凡殺され、この地への誇りなど全くなく、名前さえ付けてこなかったのです。」

「そ……それは切ない」

「しかし、あなた方のおかげで、見違えるように整備され、我々も、この地への誇りを持ちつつあります。」

「それはよかった!じゃあ……」

「そうです、この村に名前をつけたいのです。」

ファビアは思いつきを口にする。

「ビアンカ!この村の名は、偉大なる女王の名前を勝手に借りて、ビアンカにしよう!」


その会話を聞いてたシリウスが吹き出す。

「マジで?いいのかよ!」

「この村の名はビアンカだ!どっかから文句が来たら、また変えればいいよ。」

「そんな適当な……」

シモンズは恐縮しながらも、答える。

「女王の名前を冠するのは、最大の名誉。村人たちも喜ぶでしょう!」

「よし、決まりだな!」



こうして、エレニアのはるか北、ユピテル山脈を超えた辺境の地に、ビアンカ村が爆誕したのでした。


ずいぶん時が経ちましたが……

この後、舞台を変えまして、アルテリアで暮らすクレア姫たちの話に、少しお付き合いください。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ