#3 第二十一話 強い思い、ファビア対ライネル!
「オオオオオッ!」
割れんばかりの大歓声。
審判サイラス、続いてファビア、ライネルが闘技場に歩み出る。
「二回戦、ファビア対ライネル!」
歓声に負けじと、目いっぱいの声量でユイノがコール。
「一本目、始めっ!」
「おうっ!」
ファビア、気合を入れて構える。その手には、腕の長さほどの、中型の剣。基本的にはスピード、パワーをバランス良くおり混ぜたオーソドックスなスタイルだ。
対するライネルは、もちろんパワー型。巨体をゆるりと揺らして、大斧を上段に振り上げた、本気の構え!
両者、じりじりと間合いを詰める。
「せいっ!」
ライネル、挨拶がわりに大斧を振り下ろす!
「ふっ!」
ファビア、紙一重でかわして即座に反撃!
シャッ!シャアッ!
カン!カンッ!
ファビアの小刻みな連撃が火花を散らす。
しかし、剣を振る度に、短く乾いた音と共に弾かれる。
……?
すべて大斧の刃で受け流される。予想外の器用さ。
ザッ!
いったん、間合いを取って向き直すファビア、思わず口走る。
「いつの間にそんな技を……!」
ライネル、胸を張って答える。
「さっきカリュートに教えてもらった!」
「ま……まじかよ……」
それでヒソヒソ話してたのか……
カンッ!キイン!
なおも剣を振るうファビア。
パアアン!
「しまった!」
弾かれた反動で、バランスを崩す!
ゆるり
その時、ライネルが大斧を頭上に掲げ、大きく振りかぶる。
「……岩砕き!」
ブオン!
竜巻のような風の音。
北の民を救った、岩をも砕く、渾身の一撃!
ガガガキイイイン!
「うあああっ!」
ファビア、咄嗟に受け止めた剣が弾き飛ばされ、視界いっぱいに大斧が迫る!
「一本!ライネル、一本!」
審判サイラスが大声で止めに入り、宣言する。
「うおおおおーっっ!」
それまで、息を飲んで見守っていた観衆、揺れんばかりの大歓声が沸き起こる。
後がないファビアに、シリウスが客席から声かける。
「考えすぎるな!自分の全力を出す事だけ考えろ!」
……
再び両者、相対して構える。
「二本目、始め!」
審判サイラスの号令。ファビア、食い下がるか?
ファビア、シリウスの言葉を胸に刻み込む。
「そうだ……ライネルのパワーに惑わされすぎだ!己を信じろ。そして、全てを出し切る!」
迷いを断ち切ったファビア、一気に攻勢に出る!
「連撃!」
カキィン!キイン!キン!
流れるような動きで、息つく間もなく剣が飛び回る。
半歩踏み込み、低い姿勢から手首を返して、剣を右上へと跳ね上げる!勢いそのままに左へ中段斬り!
「ぐおおっ!」
ズシャッ!
ライネルの腹に剣が食い込む!
「勝負あり!ファビア、一本!」
「おおおおっ!」
二本目は、本来の動きを取り戻したファビアが奪取!大歓声が二人を包み込む。