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中編

 翌朝、カナメは私が着ていた修道服と、淡いピンク色のカナメが着ているのと同じような服を持ってきてくれた。

 修道服は、私がこちらに来たときに濡れてしまったので、洗っておいてくれたのだそうだ。


「これは小袖というのよ。

 エリに似合いそうな色を選んできたのだけど、どうかしら?」


 灰色の修道服しか持っていなかった私にとって、こんなに明るい色を纏えるなんて夢のようだ。


 一も二もなく頷いた私に、カナメはてきぱきと小袖を着せてくれた。

 慣れない衣装ではあるが、可愛い色がとても嬉しい。


 草鞋という乾燥した草でできた履物を履かせてもらい、カナメに連れられて外に出た。 

 ウキウキとした気分で歩いていると、なんだか人がたくさん集まっているのが見えた。


「あ、姫様だ!」


「エリ様もいるぞ!」


 人々の視線が私に集まり、私はついカナメの後ろの隠れてしまった。


「こらこら、騒ぐんじゃない。

 エリが怯えてしまうじゃないか」


 人垣を割るようにして、茶色の馬を牽いたトラが現れた。


「おはよう、エリ。よく眠れたかな?」


「は、はい……」


「その小袖、よく似合っているね。とても可愛いよ」


 爽やかな笑顔でさらりと言われ、私はなんと返事をしていいのかわからず、赤くなって俯いてしまった。


「エリ、馬に乗ったことは?」


 私は首を横に振った。

 馬車になら乗ったことがあるが、乗馬はしたことがない。


「そうか。じゃあ、今日が初めてだね」


 そう言いながら、トラは私を軽々と抱え上げた。


「きゃああ!」


 思わず悲鳴を上げた私は、馬の背にとりつけられた鞍の上に降ろされた。


「少し坂道を歩くから、きみは念のため馬に乗せていく。

 ゆっくり歩くから大丈夫だと思うけど、しっかりつかまっているんだよ」


「はい……」


 トラに牽かれて、馬がパカパカと歩き出した。


 私は言われた通り鞍につかまったが、これくらいの揺れなら落ちることもない。

 視線が高くなったので、遠くまでよく見える。

 私は見るものすべてが物珍しくて、きょろきょろと見まわした。

 建物はどれも木製で、ベルトラム王国のように石造りの建物は見当たらない。


 どれも一階建てで、高い建物がないのも木製だからなのだろうか。

 私たちの後ろを、さっきの集まっていた人たちがぞろぞろとついてくる。


「皆、きみのことが気になってしかたがないんだよ。

 少し離れて見ているだけだから、許してやってくれ」


 トラが言っていたように、ここの人たちは皆黒っぽい髪と瞳をしている。


 一人だけ白い頭が見えると思ったら、老婆だった。

 元々は黒髪だったのが、白髪になったのだろう。


 どこを見ても、見知らぬものばかりだ。

 理由はわからないが、私はベルトラム王国を遠く離れ、全く知らない場所に来てしまったのだ。


 人々は、たくさんの好奇心の中に少しの警戒心が混ざった視線を私に向けている。

 明らかに異端な姿をしている私は、ここで生きていけるのだろうか。


「きみが雨を降らせることができるかもしれないというのは、俺と果菜芽しか知らない。

 雨が降らなかったとしても、誰もがっかりしたりしないから大丈夫だ」


 だが、それでも、トラとカナメはがっかりすることになるだろう。


「俺としては、可愛いエリがこの国に来てくれただけで、嬉しいと思っているよ」

 

「えっ……」


 可愛い?私が?


 この国では、可愛いの基準がベルトラム王国とは違うのかもしれない。


 建物の間を通り抜け、鬱蒼と木々が茂った山へと続く道を進む。

 道ではあるが、石畳になっているわけではなく地面が剥き出しで、たまに木の根が飛び出しているところもある。

 これは、慣れないと歩き難いかもしれない。

 そういうことも懸念して、馬に乗せてくれたのだろう。


 そのまましばらく馬の上で揺られていると、不規則に立ち並んでいた木立が途切れ、開けた場所に出た。


 そこにあったのは、青く透き通った水を湛えた泉だった。


 それから、縦に真っ二つに裂けて倒れたままになっている、とても大きな木。


「さあ、着いたよ。竜神様の泉と御神木だ」


 トラは私を馬に乗せた時と同じように、ひょいと抱えて地面の降ろしてくれた。


 辺りには漂う空気には、水の匂いと共にピンと張りつめた気配のようなものが含まれている。

 カナメが言っていたように、ここが祭壇に類するような場所だということがよくわかった。


 泉の畔に立って覗き込んでみた。

 清らかに澄んだ水ではあるのだが、底は見えない。

 なんとなくだが、とても深いのではないかという感じがした。


 それから、御神木に近寄ってみた。

 見れば見るほど、大きな木だ。

 それが倒れてしまほどなのだから、よほど大きな雷だったのだろう。


 トラの話によると、私は幹の裂け目のところにいたらしい。


 なぜそんなことになったのかはさっぱりわからないが、私が竜神様に与えられた能力は雨を降らせ雷を鳴らす、というものだ。


 これが偶然なはずがない。


 私はがこの国に来たのは、きっと竜神様の導きによるものなのだ。


 振り返ると、トラと目があった。


 トラは優しく微笑んで、私を勇気づけるように頷いた。

 その後ろにはカナメがいて、心配そうな顔で私を見ている。


 トラもカナメも、私にとても親切にしてくれた。

 お腹いっぱいご飯を食べさせてくれて、温かく清潔な寝床で休ませてくれて、可愛い衣装まで着せてくれたのだ。


 この国は雨が降らなくて困っていると、トラは言っていた。


 私は農業に関わったことはないが、水がないと植物が育たないことくらいは知っている。

 農作物を育てるためには、水が、つまり雨が必要なのだ。 


 優しい兄妹に、恩返しがしたい。


 そのために、雨を降らせたい。


 私は御神木の前で地面に膝をつき、深呼吸をして両手を握り合わせ、目を閉じた。


 肥賀の国の竜神様。

 どうか、この地に恵みの雨を降らせてください。

 どうか、この国の人たちをお助け下さい。

 どうか、私の祈りが届きますよう–––––––


 私は真剣に祈った。


 ベルトラム王国でしたように、命じられて祈ったのではない。 


 竜神様に届くようにと願いながら、生まれて初めて私の意志で心から祈ったのだ。


 竜神様、お願いです。

 どうか、どうか、お慈悲を–––––––

  

 遠くからゴロゴロという音が響いたのは、私が祈り始めてすぐのことだった。


 はっと見上げると、さっきまで青空しかなかった空に、灰色の雲が湧きだすように広がっているところだった。

 鏡のようだった竜神様の泉の水面に、小さな波紋がいくつも現れた。

 ぽつぽつと空から落ちてきた水滴が地面を叩く音がする。


「雨だ……!」


 誰かが叫んだ直後、ざあっと音をたてて本格的な雨が降りだした。


「雨だ!雨が降ったぞ!」


「すごい!こんなに降るなんて!」


「これでやっと種まきができる!」


 人々がわぁっと歓声を上げた。

 

「ありがとうございます、竜神様……!」


 私はほっと胸を撫でおろし、声に出して竜神様にお礼を言った。


 よかった。これで、トラたちは助かるだろう。


「エリ!」


 トラが駆け寄ってきて、私の両脇の下に手を差し込んだかと思うと、そのままぐいっと持ち上げられた。


「すごい!すごいよ、エリ!」


 驚く私に構わず、トラは高く私を捧げたままくるくると回った。


「きみは竜神様がこの国に遣わされた、恵みの天女様だ!」


 満面の笑みでトラは私を振り回す。


 天女様というのはよくわからないが、喜んでくれたようで私も嬉しい。


 しばらく振り回され、やっと地上に降ろされた頃には、私はすっかり目が回っていた。

 よろめいてしまった私は、トラの広い胸で抱きとめられ、そのままぎゅっと抱きしめられた。


「ああ、エリ……きみが来てくれて、本当によかった……」


 囁く声がかすかに震えている。

 トラが……泣いているの?

 男の人が泣くを初めて見た私はどうしていいのかわからず、赤くなりながらただされるがままに抱きしめられていた。


「天女様……」


 そんな私の手を、横から誰かが握った。


 見ると、白髪頭の老婆が地面に跪き、私の手を押し頂くように蹲っていた。


「この国で一番の神力をもつ大巫女殿だ。

 昨日の雨乞いの祈祷も、大巫女殿が中心になって行われていたんだよ」


 トラが説明してくれた。

 巫女というのは、おそらく神殿にいた神官のようなものだろう。


「天女様……なんとありがたい……」


 深い皺が刻まれた老婆の頬を、雨ではない雫がつたって落ちていく。


「私の力がもっと強ければと、どれだけ悔やんだことか……

 これで姫様も救われます……」


 姫様という言葉に、カナメに目を向けてみると、カナメに取り縋るようにして幾人もの女性たちが泣いていた。


「雨乞いの祈祷をしても雨が降らなかったら……

 果菜芽は今頃、泉の底で竜神様の花嫁になっていた」


「えぇ!?」


 それって、生贄ってこと!?

 カナメが私を命の恩人だと言ったのは、そういう理由だったのか。


「竜神様の花嫁になれるのは、国主の血をひく娘だけだ。

 そして、花嫁を捧げるのは国主の務めでもある。

 つまり、俺はこの手で果菜芽を泉に沈めなければならなかったんだ」


「そ、そんな、酷い……」


 トラとカナメは、どう見ても仲のいい兄妹だ。 

 もしそんなことになっていたら、残されたトラも心に大きな傷を負うことになっただろう。


「姫様を一人では逝かせられぬと、私もお供をするつもりでした。

 ですが、天女様のおかげで、姫様はこれからも現世で年を重ねることができます。

 なんとありがたいことか……」


 カナメは、誰にも愛されず理不尽な理由で処刑されそうになった私とは違う。

 ここにいる全員が、カナメのことを愛しているのだ。

 もしカナメが生贄にしたことで雨が降っても、この国には悲しみが満ちたことだろう。


「よ、よかった……雨が、降って、よかった……」


 そんな悲劇が起きなくて、本当によかった。

 竜神様。私をこの国に導いてくださって、ありがとうございます。


「きみを一目見た時から、俺はきみがこの国にもたらされた瑞兆だと思っていた」


 トラは黒い瞳を優しく細め、私の髪を一房手にとった。


「君の髪は、豊かに実った稲穂と同じ色をしている」


「いなほ?」


「きみが食べた粥は、米でつくられたものだ。

 米は、稲という作物から採れる。

 稲を育てるには、水がたくさん必要なんだよ」


 ゴロゴロと音がして、空がピカっと輝いた。

 それを見上げて、トラは嬉しそうに微笑んだ。

 

「それから、ここでは雷は稲妻と呼ばれている」


「いなずま?どうして?」


「ああやって稲妻が鳴ると、稲がよく育つんだ。

 雨を降らせるだけでなく、稲妻まで呼び寄せるなんて、きみは素晴らしい天女様だ。

 今年は間違いなく豊作になるだろう。

 まだ種を蒔いてもいない今から、秋の収穫が楽しみでしかたがないよ」


 雨はともかく、雷にもそんな効果があるなんて知らなかった。

 ベルトラム王国では、雷たまに火災を引き起こす、うるさいだけの現象だと言われていた。

 それなのに、ここでは雷すら歓迎されている。


「私……ここに来て、よかった……」


 ここでなら、私も皆の役に立てる。

 私が竜神様に選ばれたのには、ちゃんと意味があったのだ。


「ああ、本当に来てくれてよかったよ。

 きみは肥賀の国を救ってくれた恩人だ。

 国を挙げて大切にすると約束するよ」


 雨に濡れたトラは、なんだかとても眩しい。


「秋になったら、きみの髪と同じ金色の稲穂を見せてあげるからね」


 蕩けるような優しい笑顔に、私はなぜか胸が苦しくなった。


◇◇◇◇◇


 私は今日も御神木の前で跪き、祈りの体勢になった。


 肥賀の国に来てから二か月。

 私は毎朝欠かさず、こうしてここで祈りを捧げている。


 竜神様、いつもお恵みをありがとうございます。

 おかげさまで、今年は稲も野菜もよく育っているそうです。

 皆、感謝しております––––––


 最初のころはひたすら雨を降らせてくれるように祈っていたが、国中にたっぷりと雨が降って以降は、感謝の気持ちを祈りにのせて伝えるようにしている。


 しばらく一心に祈って、顔を上げた。

 祈るのに慣れてきてから、どれくらい祈れば竜神様に届くのかがなんとなくわかるようになった。

 今日の祈りは、もうしっかり伝わったはずだ。


「エリ」


 私は差し出されたトラ様の手をとり、立ち上がった。

 トラ様は私がここに来るのに、毎日付き添ってくれる。 


 国主であるトラは忙しいだろうから、たまには他の人と変わってくれてもいいと言ったのに、「天女様の祈りを見届けるのも国主の大事な仕事だ」と却下されてしまった。


 私たちは手を繋いだまま、簡素だが真新しい東屋に入った。


 それを見届けたように、空からゴロゴロと控え目な雷の音が響き、さぁっと細かな雨粒が降りだした。


「今日は、あっちにある山の辺りに雨が降ると思います」


「東北だな。

 あの辺りは、水田もあるが柿という果樹が多く植えられているんだ」


「かき、ですか」


「ああ。甘くて美味いぞ。

 果菜芽の好物でもある。秋になったら食べさせてやるからな」


「ふふふ、今から楽しみです」


 私が祈りを捧げると、御神木の近くでは必ず小雨が降り、同時に肥賀の国のどこかで雨が降る。

 それがどこになるのか、というのも私にはなんとなくわかるようになった。


 私たちが雨宿りをしているこの東屋は、祈るたびに雨に降られて濡れてしまう私を心配してトラ様が建ててくれたものだ。


 少しくらい濡れても私は大丈夫なのだが、女性が体を冷やすのは良くないとトラ様だけでなく会う人全員に言われたので、ありがたく受け入れることにした。


 それに、私が着ている小袖や帯は、トラ様とカナメの亡くなったお母様の遺品でもあるのだ。

 そんな大事なものを、とこれも最初は遠慮したのだが、

 

「古着で申し訳ない。

 できるだけ早く新品を用意するから、今はこれで我慢してくれないか」


 と言われていまい、


「古着で十分です!」


 と慌てて受け取ったのだ。


 ついこの前まで雨不足で不作が続いていたというから、この国が財政的に楽ではないことは私にだって想像がつく。

 私のために新しい衣装をそろえる余裕があるなら、もっと別なことに使ってほしい。


 古着とはいえ、どれもしっかりと手入れが行き届いており、ほつれていたり破れていたりするところはない。

 色もピンクやオレンジ、深い青や鮮やかな緑など、手に取るだけで胸が踊るようなきれいなものばかりだ。


 雨が降るのは竜神様に私の祈りが届いたという証なのだが、雨に降られるとどうしても衣装に泥がはねたりして汚れてしまう。

 東屋の中にいるとそれを防ぐことができるので、とても助かっている。


 それともう一つ、東屋には密かにありがたい効果がある。


「昨日は、タエさんの家で仔犬を見せてもらいました」


「ああ、あの白い犬が仔を産んだのだったな。

 仔犬も白かったか?」


「白が三匹、茶色が二匹でした。

 父親が茶色い犬なのでしょうね。

 とても小さくて、抱っこすると温かくて、すごく可愛かったです」


「あの母犬は、可愛い顔をしているが優秀な猟犬なんだ。

 仔もしっかりと躾けたら、いい猟犬になるだろうな」


「まぁ、それは頼もしいですね」

 

 雨宿りの時間は、トラ様とのんびりおしゃべりができる時間でもある。


 雨粒が柔らかく地面や屋根を打つ音を聞きながら、なにげない日常のことを話したり、トラ様やカナメの子供のころのことなどを話すのだ。

 国主という立場だからか、トラ様は肥賀の国の中のことも外のこともなんでも知っていて、博識なトラ様の話を聞くのはとても面白く、いつまで聞いていても飽きないのだ。


 あ、雨が止む。


 なんとなくそう感じた直後、ぴたりと雨音が途絶えた。

 今の私は雨が止むのも事前に感じることができるようになっている。

 祈りを重ねる毎に、私と竜神様との距離が近くなっていっているからだと思う。

  

「さあ、下に降りようか」


「はい」


 私はトラ様に手を引かれ、城へと続く道を下る。


 雨上がりの坂道は滑りやすいからと、手を繋いでくれるのが嬉しい反面、トラ様との二人きりの静かな時間が終わってしまうのは少し残念に思う。



 私は元々掃除と洗濯ばかりしていたから、体力はそれなりにあるし、体も丈夫なのだが、トラ様はまるで私が壊れ物かなにかのように大切に扱ってくれる。

 それがくすぐったくて嬉しくて、私もそんなトラ様に甘えてしまっている。

  

 私は幼いころに両親を亡くし、父の弟である叔父に引き取られた。

 今にして思えば、おそらく両親が私に残した遺産目当てだったのだろう。

 そんな叔父が私に優しいわけもなく、叔父夫婦は私を使用人のようにこき使った。

 神殿でも同じような扱いだったので、つまるところ私はこの国に来るまで、記憶にある限りずっと冷遇されこき使われ続けていたのだ。


 それなのに、ここでは皆が私に優しくしてくれる。

 最初はそれに慣れなくて、ぎこちない態度になる私を率先して甘やかしてくれたのはトラ様だった。


 私の手を引いて城の隅から隅まで案内してくれただけでなく、私を城の外に連れ出して、これから稲が植えられるという水田や、干上がってしまった川、人々が住む家などを見せてくれた。


 人々はトラ様を「御屋形様」と呼んで気軽に声をかけ、トラ様も自然にそれに応えていた。

 この国ではごく日常的な光景なのだろうが、ベルトラム王国の王族とのあまりの違いに私は驚いた。

 トラ様はあちらの王族のように尊大にふるまったりしなくても、皆に国主として愛され敬われていることが、見ているだけでよくわかった。


 あちらの王族もトラ様みたいにすればいいのに……と、考えても無駄なことを考えてしまった。

 数日かけてゆっくりと肥賀の国を私に見せてくれた後、トラ様は私に選択肢をくれた。


「エリ、きみは竜神様からこの国に遣わされた天女様だ。

 国主である俺よりも、きみはこの国にとって重要な存在なんだ。

 きみが望むなら、俺はきみに首を垂れ、きみを神様のように扱うよ。

 俺がそうしたら、皆もそれに従うだろう。

 もしくは、神様ではない一人の女性として扱うこともできる。

 どちらがいいか、きみに選んでほしい。

 どうするにしろ、きみを大切にすることに変わりはないから、そこは心配ない。

 他にもなにか希望があるなら、遠慮なく言ってくれていいからね」


 自分のことを自分で選ぶことができるなんて……と、私は密かに感動した。

 こんなふうに選択肢を与えられるのは、私にとって初めてのことだったのだ。

 私はトラ様の気遣いに感謝しつつ、必死で考えた。


「……私は、神様ではありませんから……トラ様に、頭を下げてほしいとは、思いません。

 穏やかに、暮らせるなら、私はそれで十分です」


 贅沢をしたいわけではないし、偉そうにふんぞり返りたいわけでもない。

 この国の一員として認められ、皆と一緒に笑顔でいられるなら、それでいい。

 トラ様は顎に手をあてて、考えた。


「それなら、神様扱いするのはやめておこう。

 だからといって、きみを城の外で庶民と同じように生活させるわけにもいかない。

 ということで、果菜芽と同じような扱いをする、ということでどうだろうか」


「私は、トラ様の、妹になるのですか?」


 それは……少し嫌だな。

 理由はよくわからなかったが、なんとなくそれは嫌だと思った。


「いやいや、きみを俺の妹にするわけではないよ。

 果菜芽と同じくらい、国全体で大切にするということだ」


 カナメは姫様と呼ばれて皆に愛されていて、トラ様にも可愛がられている。

 正直、私はそんなカナメがちょっと羨ましかった。 

 姫と同じなんて私には身に余るとは思うが、そうなれるならとても嬉しい。

 だって、カナメと同じくらいトラ様の近くにいることができる、ということなのだから。


 私は、トラ様のその提案を受け入れることにした。


「エリ、これからよろしくね。

 肥賀の国主として、きみが穏やかに暮らせるよう尽力すると誓おう」


「こちらこそ、よろしく、お願いします」


 こうして、私のこの国での立ち位置が決まった。


 皆は私を『エリ様』と呼び、トラ様やカナメに対するのと同じくらい敬意をこめて親しく接してくれた。


 ベルトラム王国ではありふれた色だった私の髪と瞳の色は、『豊かに実った稲穂の色』と『冬にも枯れない常緑樹の色』とされ、恵みをもたらす天女様の色だとトラ様が言い、皆もそう信じるようになった。


 明らかに異質なので、気味悪がられるのではないかと最初は心配していたが、そんなことにはならなかった。

 それはトラ様のおかげでもあるが、この国の人々が優しいからというのも大きい。


「今日も大巫女殿のところに行くのか」


「はい!もう少しで、夏のお祭りの巫女舞を覚えられそうなのです」


「そうか、頑張っているんだな」


 私は巫女として、大巫女様のところで修行をすることになった。

 巫女たちと一緒に舞や祝詞を練習し、各種祈祷の作法や竜神様と肥賀の歴史などを学んでいるところだ。

 カナメも巫女の一人で、カナメが間に入ってくれたおかげで私は他の巫女たちともすぐに打ち解け、今では仲のいい友達になっている。


 城のすぐ外にある集落の端に、大巫女様の住処となっている巫女の修行場がある。

 祈りを捧げた後に大巫女様のところに行く時は、トラ様はそこまで送ってくれるのだ。

 たっぷりと水で満たされた水田の間の道を、私たちは手を繋いだまま歩く。


 規則正しく植えられた稲は天に向かって真っすぐ葉を伸ばし、元気に茂っている。

 今は緑色の稲は、夏が終わり収穫する時期になると、金色に色づいて稲穂がお辞儀をするように垂れるのだそうだ。

 なんだか想像がつかないが、それを見るのが楽しみにしている。


「御屋形様!エリ様!」


「エリ様、巫女の修行頑張ってくださいね」


「いい大根が採れたので、後でお城に持って行きますね!」


 私たちを姿を見ると、皆が気軽に声をかけてくれる。


 稲だけでなく、今年は野菜もよく育っているということで、皆の笑顔は明るい。


 私たちは手を振ったりしてそれに応えながら、修行場を目指し歩いた。

 伸びやかな歌声が爽やかな風に乗って聞こえてきた。

 夏のお祭りで歌われる豊作祈願の歌を歌いながら、カナメたちが舞の練習をしているのだ。

 私はまだ振付を覚えるのに必死だが、カナメたちみたいに上手に舞えるようになりたくて、毎日練習している。


 だって、巫女の舞は、国主であるトラ様の目の前で舞うのだから。

 きちんと最後まで間違えずに舞って、トラに褒めてもらうのが私の今の目標なのだ。


「御屋形様!」


 声に振り返ると、タクミが駆けてくるところだった。


 タクミはトラ様の幼馴染で、トラ様が最も信頼している家臣だ。

 トラ様に比べるとやや線が細い印象だが、槍術では肥賀の国で右に出る者がいない腕前なのだそうだ。


 私にもいつも親切なタクミは、実はカナメと恋仲でもある。


 甘い笑みを浮かべていたトラ様は、一転して国主の顔になった。


「エリ、すまないが俺は行かなくては」


「わかっています。

 お仕事頑張ってくださいね」


 こうして私に時間を裂いてくれているが、トラ様が忙しいことはよくわかっている。


 広く逞しい背中が遠ざかっていくのを見送り、私はほぅっとため息をついた。

 甘やかしてくれるトラ様も好きだが、国主の顔をした凛々しいトラ様も好きだ。 


 そう。

 つまり、私はトラ様が大好きなのだ。

 こんなにも素敵な男性に優しくされて、好きにならないわけがない。


 トラ様の年齢なら奥方が三人くらいいてもおかしくないのに、カナメを嫁に出すまで結婚しないと、未だに独身のままなのだそうだ。

 そうやって家族を大切にしているところも、大好きだ。


 トラ様も私を嫌ってはいないと思うが…… 


 私は首を振って、不毛な考えを振り払った。

 人生経験が豊富とはいえない私がいくら考えたところで、トラ様の胸の内がわかるはずがない。


 それに、順調に稲が育っているとはいえ、収穫はまだまだ先のことで、安心するには時期尚早というものだ。

 トラ様だって、きっちり収穫が終わるまでは落ち着かないだろう。

 私にできることは、肥賀の国が豊作になるように竜神様に祈りを捧げることだけ。

 トラ様のためにも、頑張ろう。


 そう思うたびに、胸の奥がじんわりと温かくなる。

 誰かを好きになるのも、その人のために頑張りたいと思うのも、私には初めてのことなのだ。


「エリ!」


 カナメが修行場から顔を出し、笑顔で私に手を振っている。 


 この国に来て、本当によかった。


 竜神様に感謝しつつ、私はカナメに手を振り返しながら修行場へと向かった。


◇◇◇◇◇


「|佐岐(さき)国との国境で、野菜泥棒が頻発してます。

 それから、あの辺りの山の恵みはほぼ採りつくされているとか」


「やはりそうなったか」


 巧からの報告に、俺は顔を顰めた。


 東の隣国である佐岐も、肥賀と同じように一昨年から干ばつの被害を受けていて、それは今年も続いていると聞いている。

 エリのおかで肥賀には満遍なく雨が降るようになり、稲妻の助けもあり田畑も山の恵みも豊富に実り始めたが、佐岐は変わらず乾いたままなのだ。

 特に国境の近くに住む人々は、その差を目の当たりにしていることだろう。

 こういった厄介事が起きることは予想していた。


「佐岐の国主宛に書簡を送ろう。

 なんとか取り締まってもらいたいところだが、難しいだろうな」


「そうでしょうね。あちらも蔵は空になっていることでしょうから」


「多少は目をつぶるしかないか。

 これ以上被害が大きくならないよう、男衆に夜回り当番を組ませることにしよう」


 他国のこととはいえ、飢えに苦しんでいる人々がいるというのは胸が痛む。


 だからといって、自国民に犠牲を強いるつもりはない。


 俺が父の後を継ぎ肥賀の国主となったのは、四年前のことだった。

 父は以前から病気がちで臥せっていることも多く、俺は十を越えたあたりから父を手伝うようになっていた。


 幸いにも俺は小さいころから体が大きく頑丈で、荒事方面はだいたい俺が対応した。

 国主の嫡子とはいえ、未熟な小僧でしかなかった俺がそんなことができたのは、全て父の的確な指示があったからだ。 

 父は病に侵されながらもその頭脳の鋭さは欠片も損なわれることなく、床から出られずとも立派に国を治めていた。 

 俺はそんな父を尊敬していた。

 いつか父のような国主になりたくて、俺は武術だけでなく勉学にも力をいれた。


 父は厳しくい人だったが、同時に愛情深い人でもあり、褒める時は言葉を惜しまず精一杯褒めてくれた。


 それは果菜芽に対しても同じことだった。

 おかげで、生まれてすぐに母を亡くし、母の顔を知らずに育った果菜芽も、捻くれることなく真っすぐに育った。


 果菜芽は俺の自慢の可愛い妹だ。

 儚くなった両親に代わって、俺が責任を持って嫁に出さなくてはならない。


 一時は竜神様の花嫁にしなければならないところまで追い詰められたが、幸いなことにその危機は脱した。


 小さかった果菜芽も、もうすぐ十六になる。


 今年の秋の稲刈りが終わった後、巧と祝言を挙げさせてやりたいと思っている。


 そのためにも、竜神様からもたらされた恵みを余すことなく享受できるよう、俺たちは全力を尽くさなければならないのだ。


 俺は水田を吹き抜ける少し湿った風を頬に感じながら、巧と肩を並べて速足で城へと向かった。


 佐岐の国主には、苦情と取り締まり強化を求める書簡と、せめてもの気持ちとして採れたばかりの新鮮な野菜を荷馬車に乗せて送った。

 あれくらいの量では焼け石に水にしかならないだろうが、こちらも米などの穀物類はもう備蓄がほとんどないのだ。


 隣国である佐岐とは、これまで数世代に渡る長い間、良好な関係を築いている。

 俺の代でそれを終わりにしたくはない。

 状況次第ではあるが、今年の秋に十分な収穫量に恵まれたら、ある程度の支援をしようと思っているところだ。 


 後日、佐岐の国主からは、謝罪と感謝が綴られた書簡が送られてきて、それ以降は野菜泥棒はほとんど現れなくなった。


 俺たちは警戒を続けつつも、必要以上にたくさん採れた野菜があれば佐岐に送った。

 雨だけでなく稲妻のおかげで、野菜もこれまでにないくらい豊富に実っているからできたことだった。

 

 そうして時は流れ、初夏の夏祭りを迎えた。


 この日のために、生真面目なエリは懸命に舞と歌を練習していた。

 ついに本番の日を迎え、朝食の時から緊張した顔をしているのが微笑ましかった。


 東の空が茜色に染まり、ぽつぽつと星が瞬きだした。 

 集落の広場の中央では大きな篝火が焚かれ、それを俺たちが遠巻きに取り巻いている。


 大巫女殿を先頭に、白と緋色の巫女装束を着た娘たちがしずしずと現れ、篝火を中心に円になった。

 巫女たちはそれぞれに真剣な面持ちだが、エリが一番強張った顔をしている。

 他の巫女たちと違い、エリは今回が初めての祈祷なのだから、それもしかたがないことだろう。

 頑張れよ、と声に出さずに声援を送っていると、大巫女殿が手にした小さな鐘をカンと鳴らした。

 それを合図に、巫女たちの舞が始まった。

 豊穣祈願の歌を歌い、竜神様への祈りをこめて舞い踊るのだ。

 手にした笹の枝を振り、白い袖を翻してくるりくるりと回る。

 頭の後ろで一つに束ねたエリの稲穂色の髪は、そうして回るたびにふわりと広がり、篝火の光を映して温かな色に輝いた。 


 ああ、きれいだな。可愛いな……


 エリが現れてから、何度そう胸の中で呟いたことだろう。


 御神木の前で祈る姿も、目新しいものに緑の瞳を輝かせる姿も、果菜芽たちと笑っている姿も、とても可愛い。 


 竜神様から遣わされた天女様だという立場に驕ることもなく、常に謙虚で控え目で、優しくされたり親切にされてりすると、嬉しそうにはにかんで笑う。

 それがなんとも可愛くて、その笑顔を俺だけのものにしたくて、できるだけ多くの時間をエリと過ごした。


 故郷で冷遇されていたというエリは、肥賀に来たばかりのころは折れそうなほど細く青白い顔色をしていた。

 今は健康的にふっくらとして肌も髪も艶やかになり、よく笑うようになった。


 エリを虐げたものたちのことを思うと怒りが湧くが、おかげでエリが俺たちのところに遣わされたのだから、複雑ではあるが感謝もしている。


 エリの舞は、他の巫女たちに比べるとややぎこちなくはあるが、努力の跡が見て取れる。

 舞うのも歌うのも初めてのことだったそうで、苦労しつつもとても頑張っていると果菜芽が言っていた。


「エリが頑張っているのは、兄上様に見てほしいからなんですって」


 なんて生意気なことをこっそり言ってくる果菜芽に、


「おまえだって巧に見てほしいんだろう」

 

 と返すと、図星を突かれて果菜芽も赤くなっていた。

 手塩にかけて育てた妹が、俺の手を離れる日も近い。

 寂しいという気持ちもなくはないが、立派に育ってくれて誇らしいと思っている。


 巫女たちが笹の枝を天に掲げ、その動きを止めた。

 舞が終わったのだ。

 太陽は東の山の向こうに隠れ、空には満天の星空が輝いている。


「祈祷は無事終わった。

 竜神様に我らの願いが届いたことだろう。

 さあ、宴を始めよう!」


 俺がそう告げると、わぁっと歓声が上がった。

 この宴では料理と酒がふるまわれるので、皆が楽しみにしているのだ。


「トラ様!」


 巫女衣装のまま、エリが駆け寄ってきた。

 

「よく頑張ったね。とても上手に舞えていたよ」


 心から褒めてあげると、エリは頬を赤らめてはにかむ。


 可愛いな。


 できることなら誰にも見せたくないくらい、可愛い。


「さあ、着替えておいで。

 今日の汁物はとても美味しくできているそうだよ」


「はい!」


 まだ米などの穀物が収穫できたわけではないので、御馳走というわけにはいかないが、たくさんの野菜と鶏肉の汁物は美味に仕上がったと聞いている。

 酒も量は少ないが、皆が一杯ずつ飲むくらいはあるだろう。


 巫女衣装から小袖に着替えた巫女たちが戻ってきて、宴に加わった。

 

「エリ、こちらにおいで」


 俺がエリを隣に座らせると、気を利かせた女衆が汁物の器を渡してくれた。


「美味しい!すごく美味しいです!」


 エリ は緑の瞳を輝かせ、鶏肉を頬張った。

 緊張から解放されて、すっかり気が緩んでいるようだ。

 そんなところも可愛い。


「ねぇトラ様、お酒もあるんですよね?」


「あるにはあるが……酒を飲んだことはあるのか?」


「ありません!だから、すごく楽しみにしていたんです!」

 

 満面の笑みのエリだが、俺は飲ませていいものか迷った。 


 というのも、実は俺がエリを隣に置いているのは、周囲を警戒しているからなのだ。


 こういう人が多く集まる祭りには、不穏分子が混じるのを避けられない。

 肥賀の国に稲穂色の天女様がいるということは、周辺諸国にも既に知れ渡っている。

 エリが拐されたりでもしたら大変だ。

 国主である俺は常に多くの家臣に囲まれているので、エリは俺の隣にいるのが一番なのだ。 


 もちろん、俺がエリを独り占めしたいから、というのも否定はしない。


 可愛いエリに熱のこもった視線を向ける男は数多くいるが、幸いにも俺と張り合おうというような男はいない。 


 天女様の伴侶には、並の男では釣り合わない。

 それこそ、俺のような国主くらいでないと。


「悪いが、どうやら酒はもう無くなってしまったようだ」


 元々量は少なかったのだ。

 俺も一口も飲んでいない。

 こういうことにしておいても、問題はないだろう。


「えぇ~、残念です」


 エリはしゅんと髪と同じ色の眉を下げた。

 そんな顔も可愛い。


「酒は米から造られるんだ。

 今年は米がたくさん採れそうだから、来年は酒が飲めるだろう。

 それまで辛抱してくれるか?」


「わかりました。また来年ですね」


 エリは素直に頷いて、花がほころぶように笑った。 


 ああ、やっぱり可愛いな。

 もう手放すなんて無理だ。


 俺に向けられる美しい緑の瞳には、深い信頼だけではない光がある。

 それが、恋情を表しているというのは俺の思い込みではないはずだ。


「あ、あれ」


 エリが視線で示した先には、俺たちがしているのと同じように寄り添っている巧と果菜芽の姿があった。


「ふふ、いつも見ても仲がいいですね」


 あの二人は少し年が離れてはいるが、お互いを思い合っているのが見ていてよくわかる。

 俺もだが、亡き父も巧のことを信頼していた。

 巧になら安心して果菜芽を任せられる。


「これはまだ本人たちにも伝えていないのだが、秋の収穫が終わって落ち着いたころ、あの二人に祝言を挙げさせようかと思っている」


「え!?」


 エリはぱっと顔を輝かせた。


「果菜芽ももう十六だからな。

 そろそろ嫁に出してもいい年頃だ」


「二人とも、きっと喜びますね!

 あ、でも、まだカナメたちはそれを知らないんですよね。

 うっかり口を滑らせないように気をつけないと」


 一転して神妙な顔になり、両手で口を塞いで見せるえりが可愛くて、俺は抱き寄せたくなるのを必死で堪えた。


 稲穂色の天女様。

 俺の可愛いエリ。


 果菜芽を嫁に出すまではと、独身を貫いておいてよかった。 

 来年の春、俺たちも祝言を挙げような。


 そっと声に出さずに呟いて、必ずそれを実現させなくてはと決意を新たにしたのだった。

雷が発生すると、空気中の窒素が窒素酸化物というものになり、地上に降ってきて肥料になります。

エリは本物の『豊穣を齎す聖女』だったのです。


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