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幽霊に生贄を捧げる。①
天乃は七瀬紗希に逢う為、聖堂学園高等学校へと足を運んでいた。正門を抜けて中央の大きな道を直進している。右側に中学校の校舎、校庭。左側に高校の校舎、校庭。奥側に総合的な体育館。その構造には、有名なデザイナーが関わっていたらしくSymmetry(左右対称)に拘り抜いた建築物になっている。
『あの時は、気付かなかったけど体育館の中央にある時計は時計じゃないんだな…。時計に視えるオブジェか…。そりゃそうか…。左右対称にするなら体育館の時計が、その儘だと完璧な左右対称にはならないからなぁ…。徹底的に拘るからこその芸術って事か…。』
天乃は総合体育館へ入っていく。
『ではでは…。生贄は生贄らしく最後まで藻掻き足掻いてやろうかね…。窮鼠猫を噛むってヤツさ…。笠原…。お前の復讐、あたしがあたしなりにしてやる…。彼奴の猫被りを暴いてやるからさ。安心して視ててくれよな。』
北側の3階に辿り着くと…。
天乃は深呼吸をして首を左右に傾けた。首筋からポキポキと音が鳴り、天乃の瞳から光が失せていく。星の輝きの無い夜空の様に…。吸い込まれそうな色だった。
『さぁて。生贄様を殺すとするか。』
そして…。
天乃は…。
部室倉庫への扉を開いた。




