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見るに目の毒触るに煩悩④
さてと…。帰宅した天乃はベットに横たわり、そう呟くと…。笠原の日記帳を手に取っていた。
『今更なんだが…。人の秘密を覗き見る様で、罪悪感が半端ないぞ…。』
天乃は日記帳に眼を通す。懐かしい筆跡で文字が書かれている。
「んっ?」
笠原の過ごした日々が事細かく記されていた。天乃は其の日々を追い、映像として脳内に再現していく。1日1日を客観的視点で覗き視る。頁を捲る事に心が締め付けられていく感覚に蝕まれた。心は憂鬱で満たされていく。意識とは関係無く涙が零れていった。
「知らぬが仏、見ぬが秘事か…。」
そう天乃は呟き、日記帳を閉じた。ソレから瞳を閉じ、想像の世界へと没入する。日記帳の文字は言葉になり、言葉は想像により脳内で可視化されていった。
『なるほど…。笠原…。気付けなくてごめんな。お前、こんなにも苦しんでたんだな…。だけどな…。だからといって…。コレはあんまりだよ…。何で、あたしに相談してくれなかったんだ?優しいお前が柄にもない復讐なんてヤラなくて良いモノはヤラなくて良かったんだよ…。そうか…。お前…。本当に【幽霊】に取り憑かれてたんだな。九年前から…。』
天乃は…。
シーツの海に顔を埋めたのだった…。




