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憂鬱な天国 Ⅰ 幽霊  作者: 倉木英知
幽霊 視てはいけないモノ
96/106

見るに目の毒触るに煩悩②


 「何だコレ?」

 天乃はポツリと言葉を零す。


 「左眼が消えた人形が五体・・…。まさかとは思うが…。」

 天乃は指を折り数を数えていく。


 親指を曲げる。

 『自殺をした水瀬智絵。』


 人差し指を曲げる。

 『笠原に殺された折原響子。』


 中指を曲げる。

 『誰かに殺された笠原慎二。』


 残った薬指と小指を眺め…。もしかして、後2人犠牲者が?と呟く…。


 『いや…。其れは考え過ぎか…。だとしても、何故…。笠原の家にこんなモノが?コレも偶然なのか?』


 天乃はアクアリウムの中を覗き込んだ。


 中央にあるビルの屋上。ビルの隅。自動販売機の裏。倒れかけた信号機の傍。自動車の中…。 


 『まぁ。遠からず近しいか…。中央のビルの屋上は水瀬智絵。ビルの前が片桐響子。自動販売機の前に笠原慎二…。だとすれば信号機と車の中か…。』


 天乃の脳裏によぎる記憶…。


 【あたしの目は左右で見える光の加減が違う。右目は鮮明に色を見る事が出来るが、左目は色褪せた色を見る。】


 天乃は小学生の頃、事故に巻き込まれて左眼を損傷し後遺症があるのだった…。その時に天乃がいたのは車の中…。


 『あたしも生贄様に選ばれているのだとしたら…。』


 ゾクリとした感覚が脊髄にあった。最悪な考えを振り切る様に天乃は…。笠原に聞いていた、とある場所へと眼を向ける。


 アクアリウムの置いてある机の下。聞いていなければ解らないであろう床下収納庫。天乃は手を伸ばしてソレを開ける。


 ギィギィと少しの音を立て蓋が開いた。


 『ビンゴだな…。』


 其処には日記帳があった。

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