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憂鬱な天国 Ⅰ 幽霊  作者: 倉木英知
蠱毒 朽ちた虫籠
91/106

℃Яё△†θЯ


 完成された絵画から抜け出してきた様な男性・・は、私に云った。


 「白井しらい雄介ゆうすけさん。貴方が本当に為さりたい事。其の助力になれればと我々(・・)は思っているのですよ。」


 私を取り囲む様に10の陰が聳え立つ。


 完成された絵画から抜け出したかの様な男性。女神の如くに美しい女性。双子の天使。銀髪の麗人。2体の無機質なビスクドール。逆十字のネックレスを吊るした神父。神経質そうな痩身の男性。


 そして…。存在そのモノが神々しい女性。


 「我々【℃Яё△†θЯ】ならば、貴方が抱く欲望を叶える事が出来ます。」


 【℃Яё△†θЯ】とは、2年程前から連続猟奇殺人を繰り返している犯罪者集団である。彼等が関わる事件では必ず遺体にカードが添えられており、そのカードにはいずれも、その事件での遺体の状態、若しくは事件其の物の状況を表したであろう【題名】と【℃Яё△†θЯ】と云う文字を残している。


 「貴方の本性と才能。我々は高く評価しているのです。貴方の造られた媚薬【スクブ】。理性を失う効果を特化させた薬が必要になりまして…。理性を失い本性を剥き出しにさせる薬を造ってもらえますか?」


 完成された美術品は、そう云った。その後に続くように銀髪の麗人は云う。


 「とある女子高生が儀式で必要なんだとよ。何でも親友だった奴に使うとか何とか言ってたな。」


 「あたしからも良いかしら…。」

 振る舞う仕草。佇まい。声色。視線。端的に言うのならば、存在其の物が神々しい女性は吐息混じりに、そう云うと…。

 「あたしの為に薬を造りなさい。」

 と続けた。


 私は…。

 無意識に頷く。


 「この1連の事件。ある女性を引っ張り出す為だけの事件なの…。彼女勘が良いから気付かれ難い様にしたいわ。だから、この1連の事件の題名は【無題】ってところね…。本来は【幽霊・・】なのだけれども…。」


 神々しい存在は…。

 続けて言葉を並べていく。


 「貴方にはパイプ役になってもらうわね。少し忙しくなるけれど…。お願い…。あたしが未来を視てあげる…。だから貴方は、あたしの指示に従うだけで良いわ…。」

 

 その言葉は闇に溶けて消えた。

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