℃Яё△†θЯ
完成された絵画から抜け出してきた様な男性は、私に云った。
「白井雄介さん。貴方が本当に為さりたい事。其の助力になれればと我々(・・)は思っているのですよ。」
私を取り囲む様に10の陰が聳え立つ。
完成された絵画から抜け出したかの様な男性。女神の如くに美しい女性。双子の天使。銀髪の麗人。2体の無機質なビスクドール。逆十字のネックレスを吊るした神父。神経質そうな痩身の男性。
そして…。存在そのモノが神々しい女性。
「我々【℃Яё△†θЯ】ならば、貴方が抱く欲望を叶える事が出来ます。」
【℃Яё△†θЯ】とは、2年程前から連続猟奇殺人を繰り返している犯罪者集団である。彼等が関わる事件では必ず遺体にカードが添えられており、そのカードには何れも、その事件での遺体の状態、若しくは事件其の物の状況を表したであろう【題名】と【℃Яё△†θЯ】と云う文字を残している。
「貴方の本性と才能。我々は高く評価しているのです。貴方の造られた媚薬【スクブ】。理性を失う効果を特化させた薬が必要になりまして…。理性を失い本性を剥き出しにさせる薬を造ってもらえますか?」
完成された美術品は、そう云った。その後に続くように銀髪の麗人は云う。
「とある女子高生が儀式で必要なんだとよ。何でも親友だった奴に使うとか何とか言ってたな。」
「あたしからも良いかしら…。」
振る舞う仕草。佇まい。声色。視線。端的に言うのならば、存在其の物が神々しい女性は吐息混じりに、そう云うと…。
「あたしの為に薬を造りなさい。」
と続けた。
私は…。
無意識に頷く。
「この1連の事件。ある女性を引っ張り出す為だけの事件なの…。彼女勘が良いから気付かれ難い様にしたいわ。だから、この1連の事件の題名は【無題】ってところね…。本来は【幽霊】なのだけれども…。」
神々しい存在は…。
続けて言葉を並べていく。
「貴方にはパイプ役になってもらうわね。少し忙しくなるけれど…。お願い…。あたしが未来を視てあげる…。だから貴方は、あたしの指示に従うだけで良いわ…。」
その言葉は闇に溶けて消えた。




