生贄様解体新書⑤
「そうだとしてもさ。1つだけ解らない事があるんだけど…。」
「んあ?」
「水瀬さんが憑依されている動画見たよね?思い込みだけで、あぁなってしまったりするの?」
うーん。と天乃は顎に指を添えた。
「例えば…。狐憑きやら悪魔憑きと呼ばれるモノの殆どが【精神疾患】とされているんだよ。所謂、精神の病だな。【生贄様】の様な遊戯でパニックになったり、意識を失ったりするのは、思い込む事で、なったりはするんだけど…。水瀬智絵の事に関しては、違う様な気がする。水瀬智絵が【精神疾患】だったとは思えないし、調べて貰ったけれど、そう云った事は無かったからな…。」
「だとしたら…。」
まぁ。【生贄様】の様な存在が全く存在しないとは言い切れないのだが…。と天乃は云った。
「【生贄様】が実在している可能性もあるって事だよね?」
「だから…。最初に云ったじゃないか…。存在もするし存在もしないって…。まぁ。真実を突き止めないと、解らない事もあるよ…。だからこそ、視てはいけないモノは視なくて良いし、知らなくて良いモノは知らなくても良い…。でも…。」
「でも?」
「あたしの後輩だった笠原が絡んでいるんだ。迂闊だったよ…。あたしには知る権利があるって事だ。例えソレが知ってはいけない事でもな…。」
あっ…。遅くなったな。帰ろうぜ。と天乃は伶音の背中を軽く叩いたのだった。




