生贄様解体新書④
「それでだ。小さく不安定なテーブルがコインを動きやすくするのだよ。不覚筋動を起こしやすい状況になるからだ。その総てが噛み合って【生贄様】になっているって事になる。」
「そう云われると解りやすいかも。」
伶音はそう云うと…。
人差し指を頬に当て…。
「要は【生贄様】は、存在を信じれば信じる程に存在しやすくなるって事だよね?」
おっ…。やるな少年よ。と天乃はグッと親指を立てた。
「そしてだ。存在が認識されればされる程に、その存在が確立されていくんだよ。相乗効果だな。」
『エグいんだよ。』
天乃は心の内で呟く…。神木からの情報が脳内で蠢いていた。
「【生贄様】の存在が拡散されたのは…。水瀬智絵が憑依された後からだったんだ…。」
『エゲつないんだよ。』
『【色々と調べたんだけどね。水瀬さんが憑依されてから【生贄様】が聖堂学園で流行り出したみたいなんだよね。ソレ以前では【生贄様】の名前すら知られてなかったらしいよ…。勿論、聖堂学園以外でもね…。】』
「えっ?ソレって…。」
伶音の表情が曇る。そんな伶音に天乃は…。シーっと人差し指を唇に当てた。
「そうそう。水瀬智絵が自殺した事も、片桐響子が殺されてしまった事も…。七瀬紗希が何らかしら関わっている可能性があるって事になる。だから、あたしは七瀬紗希に会いたかったんだよ。そんで、確信したんだ。色々と仕掛けてみたら、観えてきた事があったからな。」
「えっと…。」
伶音は何やら考えている。
「ソレってもしかしてだけど…。僕、危険な状態なんじゃ…。」
伶音は天乃へ視線を向けた。
「んあ?多分…。大丈夫…。」
「多分って何?」
天乃は自らの左眼を指差して…。多分…。次の生贄はあたしだからな。だから…。あたしが無事なら大丈夫。と、クスクス笑うのだった。




