生贄様解体新書③
「【生贄様】や【狐狗狸さん】等の降霊術に別の意味を与えるのなら…。」
天乃はベンチに先程、描いた図面を広げ、コインを置いた。
「【自己暗示】【集団催眠】【不覚筋動】【予期意向】ってとこかな…。」
紙の上のコインがスルスルと動いていた。どうやら、天乃は態とコインを動かしている様だ…。ふんふふーん。とハミングをしている。
「えっ?何て?」
どうやら、伶音は思考する事を破棄している様だった。追い付けていない。
「まぁ。1つずついこうか。」
天乃は人差し指を立てた。
「【自己暗示】これは先程迄の説明で言ってるけども…。此処での自己暗示とは、想像したモノを頭に思い描き、その存在を認めると云う事だ。【生贄様】や【狐狗狸さん】の存在とかをな。想像力で、その存在を真実にしてしまうんだよ。思い込む事でね。」
「2つ目、【集団催眠】。」
中指を立てる。
「初めに言っておくが、個人個人が、どういった人間なのかは別だ…。催眠とは他人、或いは事象によって与えられた暗示で、肉体的変化、精神的変化が引き起こされた状態を指す。【生贄様】で云うのなら、【儀式をする事】で自ら暗示に掛かりやすい状態を創り出している。そして…。暗示は感染するんだよ。その場の雰囲気に呑まれたり、無意識に周りに合わせようとしたりしながらな。」
「3つ目。【不覚筋動】」
天乃は薬指を立てた。
「無意識に筋肉が動く事。【生贄様】の儀式では、硬貨に指を添え同じ体勢を取り続けるだろ?同じ姿勢を取り続けると、筋肉疲労になりやすくなる。すると僅かに無意識に腕の筋肉が動くんだ。」
そして予期意向が起こる。と天乃は小指を立てた。
「【予期意向】とは、その先の道筋を求める願望の事を指す。不覚筋動で動いたコインの動く先を無意識に決定してしまうんだよ。指や腕よりも視線が先に動き、その答えを導いてしまう。」
だから…。儀式で使う紙には、解りやすい様に文字や数字が並んでるんだよ。見つけやすいだろ?その方が…。と言葉を並べた。




