統計学的心理思考①
学園からの帰り道。震えている天乃に伶音は声を掛けていた。
「義姉さん。大丈夫か?【生贄様】の事は気にしなくて良いよ。偶然だよ。偶然。」
伶音は天乃の背中を軽く叩いた。
「んあ?もうそろそろ良いかな。」
天乃はケロリとしている。
「えっ?」
「えっ?。って何だ?えっ?。て…。演技に決まってるだろ?態とだよ。態と。騙された?」
天乃はクスクスと笑う。
伶音はポカンと口を開けている。
「解った事が幾つかあったな。」
「どゆこと?」
「【生贄様】も存在はするし、存在しないって事。【幽霊】と同じ様なモノだ。」
伶音の頭には疑問符が浮かんでいる。
はぁっ。と天乃は溜息を吐き…。説明しないといけないの?面倒臭いなぁ。と呟いた。
「ずっと考えていた事がある。例えば偶然と思われる出来事は本当に偶然なのかと云う事。」
「ますます解らないのだけど…。」
「そうだなぁ…。総合体育館で、お前が無意識に選択していた事が実はあたしが導いていた事、解ってた?解らなかったろ?」
天乃は意地の悪そうな笑顔を浮かべた。
「はい?どゆこと?怖いんですけど…。」
「総合体育館の入口は硝子製の大きな2つの扉があったよな。その時、お前は右の扉から入った。あたしは右の扉から入る様に誘導していたんだよ。お先にどうぞ。右・でも、左でもお好きな方で。と、あたしは【右】を強調して云った。更に背中を押して、急かしたんだ。」
あっ。確かに、右から入った…。と伶音は、その時の事を思い出している。
「次は階段の踊り場の時なんだが…。左右に別れた階段で…。【右回りか、左回りか】あたしは【左】を強調して云っていたろ?そして…。お前は左側の階段を選び、階段を上っていった。」
「確かに…。左側だった…。」
天乃は大きく腕を広げた。
「あたしが導いた未来へと、お前をいざなったのだよ。あーっはっは。って事は。冗談だとして…。」
「はい?」
伶音は素っ頓狂な声を上げた。




