犠儀式③
「何か言いましたか?」
天乃は七瀬に訊いた…。
「いえ。何も…。」
七瀬は自らのカードを取り、書かれていた文字を観ると眼の前で伏せた。
「今回は水無月さんをメインとして【生贄様】を行うと云う事で宜しいですか?」
天乃と伶音は無言で頷く。
「カードは運命に導かれ、其々の手に渡りました。其れでは、水無月さん。紙に書かれた◯にカードを伏せた儘、置いて下さい。そして、その上に持ってきた身代わり人形を置いて下さい。」
『漸く身代わり人形を使うのか…。』
七瀬は手を伸ばして◯へと誘導する。天乃は言われるが儘にカードを置き、身代わり人形を置いた。
「では。【生贄様】をお呼びしましょう。水無月さんはコインを正面に捉えて6時方向を押さえて下さい。私と星月くんは、其々10時と2時の方向を押さえます。態と動かしたりはしないで下さいね。【生贄様】がお怒りになられてしまいますので…。」
其々が其々の指示があった場所を人差し指で押さえる。
「コレで準備は整いました。【生贄様】をお呼び致しますので、私の言葉の後に私の言葉を繰り返して下さい。」
はい。と天乃と伶音は応えた。
「【生贄様】。【生贄様】。お越し頂けましたらコインを動かしお答え下さい。もしお越し頂けたのなら【はい】を示して下さい。」
天乃と伶音は七瀬の言葉を繰り返す。
すーっとコインが動き【はい】を示す。
おぉー。すっげぇーーー。動いてる動いてる。伶音の奴、信じやすい質だしなぁ…。と、天乃は心の内で、燥いでいた。伶音の顔は蒼白になっている。
「【生贄様】に、お越し頂けました。では…。天乃さん。【生贄様】に聞きたい事を仰って下さい。」
七瀬の声色は酷く落ち着いていた。トーンも心做しか低く聞こえる…。
「解りました。」
天乃は俯きながら言葉を魅せた。
「【生贄様】、あたしの親友と会話する事は出来ますか?」
コインはすーっと【はい】を示した。
「それでしたら…。あたしの親友だった子と会話させて下さい。」
「ねぇ…。」
伶音が言葉を発する前に天乃は…。左手の人差し指を唇にあて…。しーっ。静かに…。と囁いたのだった。




