犠儀式①
「とりあえず此方に座って下さい。」
七瀬はそう云うと奥の方へと案内をした。其処には小さなテーブルがある。そのテーブルを囲む様に三脚の椅子が置いてあった。
「此方のテーブルは使わないのですか?」
天乃は入口付近にある大きなテーブルを指差す。すると七瀬は応えた。
「大きなテーブルだと生贄様が嫌がるみたいなんですよ。なかなか来てくれないので…。小さいテーブルの方が好きみたいです。」
あっ。そうだ…。と七瀬は1言置いてから言葉を並べていく。
「【生贄様】では、1枚のコインと1枚の白い紙。3枚のカード。そして1体の身代わり人形が必要なのです…。身代わり人形だけは、個人で身に付けているモノを使わないといけないんですが…。用意はしてきましたか?」
「はい。持ってきました。」
天乃は身代わり人形をポケットから取りだした。玄人感を出す為にあえて少し汚した水色の人形をテーブルに置く。
「僕も持ってきました。」
伶音は持参した黒色の身代わり人形をテーブルに置いた。
「それなら問題はないですね。私は、この人形を使います。」
七瀬はカラフルな人形を置き…。折原さんは何かあった時の為に、撮影係をしますので…。ソレだけはご了承下さい。と続けた。
テーブルは少しだけ不安定なのか、触れると気にはならないぐらいに微かに揺れる様だった。
七瀬は、テーブルの中央に紙を置いた。その紙には、左上に【はい】、右上に【いいえ】と描かれ、その間に◯が描かれている。その下には50音と数字が描かれていた。左から下へ【あいうえお】と文字が均等に書かれていて、その横に【かきくけこ】と50順に書かれている。細かい違いは有れど狐狗狸さんに使用される紙に告示していた。違いは50音が右から始まるか、左から始まるか、そして鳥居が◯になっているかの違いである。
「此方に3枚のカードがあります。このカードには其々…。」
そう云うと七瀬は3枚のカードを置いていく。
「殺された後に供えられた物。供えられた後に殺された物。殺されずに神域で飼われた物。と表記されています。」
確かにカードには其々、その言葉が記載されている。
「あの…。カードに書かれている言葉は何かしらの意味があるのですか?」
天乃は問い…。
「意味はありますよ。喚び出す【生贄様】が、どの様に生贄として選ばれていたのかを示す言葉です。」
と七瀬が返した。




