友達に会う為に…。
部室であろう部屋の前に、2人程のシルエットが見えた。
「すいません。遅れました。後、我儘を聞いて下さり、ありがとうございます。」
怜音は深々と頭を下げて、挨拶をする。
「ごめんなさい…。」
天乃も頭を下げた。
「気にしないで大丈夫ですよ。開始するまで、もう少し時間はありますから。」
そう優しく言葉をくれたのは、知的な雰囲気の女学生だった。薄い黒縁の眼鏡。色白の肌。艶々とした黒髪。その黒髪は丁寧に纏められている。その女学生は続けた。
「ちょうど、皆さんが揃ったみたいなので、軽い自己紹介でもしましょうか。私はオカルト研究部に属している、3学年の折原伊織と言います。そして、此方が…。」
そう言って、右隣にいる女学生へと手を向けると、その手に反応するかのように、指名された女学生は…。
「私も、3学年です。七瀬沙希です。」
と、俯きながら消え入りそうな声で言った。
『 ほぅ。この娘が水瀬、片桐の親友と云われている娘か…。』
七瀬と名乗る人物は、少し窶れて見えた。清楚な顔立ちだった。美人と云っても過言ではない。でも何故か、その表情には陰がある様に感じる。それはきっと、あの瞳の所為なのだろう。此方を見ている様で、見ていない…。そんな瞳をしている。肌も、折原と同様に色白の肌なのだが、窶れて見えるのも相まって、青白いと感じるのだ。
触れてしまえば壊れてしまう…。そんな妖しさを孕んでいた。
天乃は調べていた水瀬と片桐の容姿を想い浮かべる。二人共、清楚だが陰のある整った顔立ちだった。髪型は鬢削ぎ、尼削ぎ、振り分け髪と呼ばれていた髪型を現代的にアレンジした、姫カット。2人は髪型を揃えていたのだろう…。確かにパッと見したら同一人物だと勘違いする程に似ていた。
『あ。七瀬はショートカットなのだな…。姫カットにしたら、あの二人と似るのだろう…。雰囲気が同じに感じる…。』
天乃の思考は遮られる。
「僕は、2学年の星月伶音です。今日は、僕の我儘を聞いて頂き、ありがとうございます。この娘は僕の親戚の水無月天乃と言います。この娘に、この降霊術に参加したいと泣いて頼まれたので…。」
怜音はまた深々と頭を下げた。
「どうして、この降霊術に参加したいと思ったの?」
折原は子供に話し掛ける様な優しい声で、天乃に問い掛ける。
「死んでしまった友達に会いたいんです。どうしても謝りたい事があるんです。」
1人1人に訴える様に各々の方へ眼を配らせ、涙声で天乃は返した。
「色々な降霊術を試してみたのですが…。駄目だったんです…。でも、此処で行われている【生贄様】は、特殊な降霊術だと噂で聞きました…。」
天乃の瞳からは、涙が溢れていた。
「もう1度…。友達に会えるかも知れないので…。」
その義姉の迫真の演技をみて怜音は眩暈を覚えていた。




