Symmetry
「荘厳とは、この事を言うのかね?」
この言葉は天乃が聳え立つ門から見える景色に向けて放った言葉だった。
天乃と怜音は聖堂学園の門前にいた。聖堂学園とは中高一貫校である。正面に存在する門を進むと広大な面積の敷地の中央には大きな道がある。その大きな道を境として右側に中学校の校舎、校庭。左側に高校の校舎、校庭。奥側に総合的な体育館で分けられている。その構造は総てにおいて、有名なデザイナーが関わっていたらしくSymmetry(左右対称)に拘り抜いた建築物になっている。
平面幾何学式庭園から、インスパイアを得たのだろうか?と、天乃は考えてみる。
敷地に軸線を設定しての左右対称性。幾何学的な建物の配置。植栽の人工的整形。その中でも、一際目を引くのが時計であった。
中学校の時計は普通の刻を刻んでいるのだが、高校の時計は文字盤が逆である。針の動きすらも逆だ。拘りも匙加減なのだな…。と天乃は考えていた。
感慨に浸りながら、校庭に歩みを進めると、暫くして四方八方から黄色い声援が聞こえてくる。
「んあ?」
天乃は、周りを見渡した。
『なるほろ…。どうやら義弟様はモテモテの様だな…。』
「いや…。その…。」
怜音は、何かを察したのか、照れた感じで下を向き、。天乃は…。お主なかなか、やりおるのぉ…。と言いながら怜音の横腹を肘で突付き、再度周りを見渡した。
放課後でも学園内に相当数の学生の姿が確認出来る。部活動も盛んと聞いていたから、予想はしていたけれどマンモス校ならではの人数である。卒業までに出逢うことすらない人もいるのであろう。それほどの規模の学園だ。
「さてと、降霊術が行われるのは、オカルト研究部の物置部屋だったよな?」
「そう。文科系関連の部室は、総合体育館の北側の3階だね。」
「さてさて…。鬼が出るか、蛇が出るか…。それとも仏かな…。本当に生贄様かも…。アハッ。」
と、天乃は微かに呟く。
『………。』
何か恐ろしい言葉が聞こえた気がして、怜音は聞こえない振りをした…。




