ある日の会話。
「どうだね?似合っているとは思わんかね?少年よ。」
其処には中学校の制服に身を包み、腰に手を当てドヤ顔をしている天乃がいた。
「あぁ。はいはい。似合ってる。似合ってる。似合ってはいるんだけどさ…。本当に行くの?止めた方が良いと思うけど…。考え直したら?」
天乃の義弟である怜音は心底、呆れた顔で問い掛ける。
「だって、これしかないじゃん。仕方無いじゃん。あたしだって望んでやってる訳じゃないのだよ。」
と、天乃はスカートをヒラヒラと靡かせて満面の笑みで返した。
「望んでるんじゃないの?ノリノリにしか見えないんですけど…。」
こういう時の義姉に何を言っても無駄になるだけだと過去の事例を思い浮かべ、怜音は呆れを通り越し諦め状態になっている。
「でも何で、うちの学校内で降霊術をやりたいの?っていうか、学校でやるの禁止されてるし。そんなの何処でだって出来るでしょ?」
「あたしには友達がいないし。頼めるのはお前ぐらいだし…。本格的に遊んでみたいし…。ほら。夕暮れの教室とかさ。雰囲気あるじゃん。出そうで…。」
幽霊の手付きを真似して、チラッと天乃は、怜音の顔を見る。
「いやいや…。それは解るけど…。人を集めて欲しいとか言ってて、何で3年生って限定なんだよ。僕は2年生なんだよ。2年生で良かったんじゃないの?先輩だから調べたり、頼んだりするのがキツかったんですけど…。」
「ん?」
天乃は右手の人指し指を顎に当て…。2って数字が嫌いだから。と、態とらしい演技をする。
「それなら、1年生でも…。」
天乃は間髪を入れずに…。1も嫌い。と言う。
『でも…』そう言い返そうとして、怜音は言葉を止めた。多分、満足のいく答えは返ってこない。理由があるのか、気紛れなのか、ソレは関係ない。あの演技の裏には何かある、触らぬ神に祟りなしだ。
「まぁ、大丈夫だったんだから、良いじゃないか。ありがとな。」
『何とかなったからいいのかな?』
怜音は天乃の性格を理解している。だから納得するしかない。それ以外の選択肢は無かった…。
「さぁ。行こうじゃないか。少年よ。」
「えっ?僕も??」
「お前の親戚の中学生って設定だしな。」
ふぅ。
怜音の溜息は虚しく部屋に散乱した。




