小休止
沈んだ心を払拭する為、明るく努めようと神木は天乃に訊いた…。
「そういえば…。1つ聞いても良い?」
「んあ?」
「どうして、天乃…。報道関係の仕事をしている私が知らない情報を【た く さ ん】知ってるのかな?」
「んぁぁぁぁあ?」
天乃は動揺していた。
明ら様に眼が泳いでいる。
「い、いや…。そ、それはだ、だな。そ、そう。そ、想像。うん。そ、想像だ、だよ…。い、嫌だなぁ…。あ、あたしが…。そんな情報。も、持ってる訳、な、ないじゃないか…。」
狼狽しているのが眼に見えて、耳に聞こえて解った。そんな様子の天乃に神木は追撃する。
「もしかして…。天乃ちゃん…。私に何の相談も無く…。警察と【あの事】で取り引きとかしてないよね?」
神木は笑顔を作っているのだが、眼は全くと云って良い程、笑ってはいない。
【あの事】
十年程前の事。都内で連続とした陰鬱で凄惨な猟奇殺人事件が多発していた。その事件では必ず遺体にカードが添えられており、そのカードには何れも、その事件での遺体の状態、若しくは事件其の物の状況を表したであろう【題名】と【CREATOR】と云う文字が記されていたのである。その事件を解決に導いたのが当時、中学生の星月天乃だったのだ。
犯人は捕まったのだが…。未成年である事、精神喪失状態である事を理由に、とある施設へと送られる事になった。2年程前には、施設内で自ら命を落としている。
けれど、その直後から都内で再び連続猟奇殺人事件が多発していた。模倣だろうと推測されてはいるのだが、警察しか知り得ない事も再現しているとの事。その経緯で警察は天乃に捜査協力を持ち掛けられていたのである。
「えっと…。ごめんねぇ…。今回、情報を提供してもらう代わりに少しだけ…。ねっ?ねっ?」
天乃は神木に甘え声で、許しを請う。
「天乃が決めたのなら別に文句は無いけどさ…。1人で抱え込まないで、少しは私を頼ってよ。」
神木は天乃の頭を…。
ポンポンと優しく叩く。
解ったよ。と天乃は頷いた。




