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憂鬱な天国 Ⅰ 幽霊  作者: 倉木英知
幽霊解体新書
63/106

幽霊を解体する。 あたしにも…。


 ふと天を見上げると、夕闇が闇に変わりつつあった。天乃は右腕に視線を落とし、あっ…。時間だ。もう帰るよ。とフードを被りながら、そう云うと墓石に背を向け歩みを進めた。


 言葉が流れる。


 「長々とすまなかったな…。幽霊を受け入れて、心を休ませれば、いずれ幽霊は視えなくなるよ。喜べ、あたしが保証してやる。このあたしがだ…。」


 天乃は、そこまで云うと両手で顔を隠し泣き崩れた。夜は訪れ、星と月が輝きを増していく。ふと天乃は立ち上がり、墓石に背を向けた儘…。元気でな。また来るよ。と言い、歩き出した。


 天乃は霊園の境界まで来ると、瞳を閉じた。笠原の事を思い浮かべ、ユックリと瞳を開ける。


 記憶にある笠原の残像が…。

 眼の前の風景に刹那的に重なった。


 「笠原…。あたしにも見えたぞ。」


 そう云うと…。

 天乃は儚げに微笑んだのだった…。

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