59/106
幽霊を解体する。 成仏
「遅くなってごめんな…。」
ある墓石の前で星月天乃は掌を合わせる。それから1息付き、何かを覚悟したかの様な眼差しで天を見つめた。あの出来事から時は少し刻まれている。天乃は薄手のパーカーを羽織りフードを深く被っていた。そして、墓石に背を向けると、墓石の前にある段差に座り込む。
カチッ。煙草に火を付け、深く息を吸った。息を吐くと薄紫色の煙がユラユラと空間に舞った。視線を煙に合わせる。
「自殺だったんだってな。お前…。」
天乃は拳を力強く握り、身体は微かに震えていた。
「司法解剖の結果、自殺と認められたよ…。そんで…。お前…。」
夕闇の隙間から鴉の啼く声がする。
何があったんだ?と天乃は墓石に向けて問う。
「お前が女子高生を殺した事は、警察の調査で立証されたよ。」
行き場のない想いが…。
声を通して感じられる。
「凶器に付いていた指紋、衣服に浴びた血液の量、位置関係、そして…女子高生がかけていた通話相手の証言。其の何れもが、お前を示していた…。」
風が凪いだ。
「あたしは刑事でもなければ、推理小説に出てくる探偵でもない無力な人間だ…。」
天乃は煙草を深く吸い…。
ユックリと煙を吐く…。
ユラユラとした煙が…。
ユックリと消えていく。
だが、お前が見た【幽霊】あたしが成仏させてやるよ…。と云った。




