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憂鬱な天国 紅い色
どのくらいの時間が過ぎたのだろう?
窓から見える景色は、夕日色で染まりつつあった。まだ少し、茫然自失の感じに包まれている。
『あっ。』
我に返り、スマホの画面を見た。通話は切られていて、その変わりにメッセージが届いていた。
【ごめん。授業になっちゃうから…。話して楽になるなら後で話し聞くからね。1人で抱え込まない様に…。】
優しさが伝わる言葉が…。
眼に、心に浸透する。
『あぁ。後でな…。』
あたしはスマホをソファーへと放り、暫く瞳を閉じ、深呼吸をした。落ち着きを取り戻すと、意識は正常に機能していく。
【✖✖区で…】
テレビが何やら喚いている。
【起こった事件の…。】
テレビの方へ視軸をずらす。
【速報です。】
光が瞳を刺激するから…。
あたしは少し眼を細める。
【新たな事実が判明したそうです。✖✖区の廃墟ビルで起こった殺人事件で、被害者と思われていた笠原さんですが、実は女子高生を殺害した後に、自殺をした。と現場検証で判明しました。警察は事件の詳細を調べる為、司法解剖を…。」
と。この耳に届いたのだった。




