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此のアクアリウムの様な世界で…。⑦
私は悪夢を視た。
自殺をした水瀬智絵が横たわりながら、此方に向かい呪詛の詞を吐いている。
【何で…。】
【何でなの…。】
水瀬の姿は…。
まるで魚の様だった。
焦点が合わない虚ろな眼。
左眼の箇所は穴が空いている。
パクパクと動く青白い唇。
生々しく蠢く肉瘤。
呼吸する度に伸縮する胸。
グニャグャニとした骨が砕けた両足。
其れは壊れた玩具みたいに…。
同じ動きを繰り返している。
【私が嫌いになったの?】
「そうよ…。貴方がいなければ…。彼女は私のモノになったのに…。」
【だから私を殺したの?】
「人の所為にしないでよ。貴方が勝手に死んだんじゃない。」
【私の《左眼》を返してよ。】
「それは生贄の印でしょ?」
【私は何の為に生贄になったの?】
「それは…。」
【答えられないの?】
「………………。」
【答えられないわよね。】
「五月蝿い。」
【願いが叶わなかったから?】
「煩い。」
【そうよね。だって響子は…。】
「五月蝿い…。五月蝿い…。五月蝿い…。」
【紗希の事なんて…。】
「五月蝿い。喋るな…。」
【愛してなかったんだもん。】
「もう1度…。死ね。」
そうして私は傍にあったコンクリートブロックで水瀬の顔を幾度と無く殴り続けた。




