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憂鬱な天国 Ⅰ 幽霊  作者: 倉木英知
生贄 七瀬紗希 殺されず神域で飼われた物
53/106

此のアクアリウムの様な世界で…。⑥


 また私は此処にいる。2日前にも訪れた場所。廃墟と化したビルの屋上。あの人が視た未来が確かなのならば、此の場所から観察出来る筈だ…。


 響子は星空を眺めて何やら囁いている。


 「私、決めたよ…。負けないから…。だから貴女の処に行くの遅くなるよ。遅くなるけど…。其れまで待っててね…。」


 その言葉を聞いてしまった私の何処かで…。パキッと何かが壊れた音がすると、赫怒の念は増殖して心の檻を破壊した。


 スッと冷静になった。響子への興味が無くなったのを感じたからだった。


 響子は階段を下りていく。


 『響子さんが階段を下りたら、響子さんへ連絡して下さい。そして、出来る限りに卑屈的に、此の言葉を伝えて下さい。そうすれば、確実に彼女は殺される事になりますから…。幸運を祈ります。』


 未来を透視して未来を予知する。あの人の言葉が浮かんだ。


 私は響子へと連絡する。


 「はい…。今更何?」

 静かな怒りを秘めた聲。


 「私は貴女を助けたかったのよ。」

 卑屈的になる様に演技をする。

 「何で解ってくれないの?だから私は貴女を助けたかったの。」

 何度も何度も同じ言葉を繰り返す。

 

 「だから。何を言ってるのか解らないのよ…。」

 響子の怒りが少しずつ聲に現れた。


 智絵と同じ様になって欲しくないから…。だから私…。貴女を助けたかったのよ。ただソレだけよ。と、出来るだけ感情を込めて何度も何度も私は云う。


 響子の聲に確実な変化がえた。怒号がスマホ越しに聞こえる。


 私は柵へと近寄り、下を見下ろす。


 響子の前には眼鏡を掛けた男の人が佇んでいた。その男の人はコンクリートブロックを手に取り、響子の顔に叩きつけた。


 何度も何度も。

 何度も何度も、叩きつけている。


 『あの人の言った通りだ…。響子が誰かに殺された…。』


 私は興奮しながら…。

 其の様子を観察した。 

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