此のアクアリウムの様な世界で…。⑥
また私は此処にいる。2日前にも訪れた場所。廃墟と化したビルの屋上。あの人が視た未来が確かなのならば、此の場所から観察出来る筈だ…。
響子は星空を眺めて何やら囁いている。
「私、決めたよ…。負けないから…。だから貴女の処に行くの遅くなるよ。遅くなるけど…。其れまで待っててね…。」
その言葉を聞いてしまった私の何処かで…。パキッと何かが壊れた音がすると、赫怒の念は増殖して心の檻を破壊した。
スッと冷静になった。響子への興味が無くなったのを感じたからだった。
響子は階段を下りていく。
『響子さんが階段を下りたら、響子さんへ連絡して下さい。そして、出来る限りに卑屈的に、此の言葉を伝えて下さい。そうすれば、確実に彼女は殺される事になりますから…。幸運を祈ります。』
未来を透視して未来を予知する。あの人の言葉が浮かんだ。
私は響子へと連絡する。
「はい…。今更何?」
静かな怒りを秘めた聲。
「私は貴女を助けたかったのよ。」
卑屈的になる様に演技をする。
「何で解ってくれないの?だから私は貴女を助けたかったの。」
何度も何度も同じ言葉を繰り返す。
「だから。何を言ってるのか解らないのよ…。」
響子の怒りが少しずつ聲に現れた。
智絵と同じ様になって欲しくないから…。だから私…。貴女を助けたかったのよ。ただソレだけよ。と、出来るだけ感情を込めて何度も何度も私は云う。
響子の聲に確実な変化が観えた。怒号がスマホ越しに聞こえる。
私は柵へと近寄り、下を見下ろす。
響子の前には眼鏡を掛けた男の人が佇んでいた。その男の人はコンクリートブロックを手に取り、響子の顔に叩きつけた。
何度も何度も。
何度も何度も、叩きつけている。
『あの人の言った通りだ…。響子が誰かに殺された…。』
私は興奮しながら…。
其の様子を観察した。




