此のアクアリウムの様な世界で…。⑤
智絵が自殺し居なくなってから、私は此方が不利になる様に【生贄様に纏わる噂】を少しずつ流布した。そうすれば…。響子の其の美しい肉体から希望を引き摺り出す事が出来る…。。絶望を感じた響子は、私だけに救いを求める筈だ…。
予想外にも【生贄様に纏わる噂】で私以外の人間が流したであろう噂もあったけれど…。
響子を観察する日々。
もっと希望を引き摺り出す為に1度距離を取る事にした。髪型を変え、服装を変え、喋り方を変えた。
すると…。
響子は日を追う事に…。
眼に観えて衰弱していった。
あの綺麗に輝いていた瞳は、死んだ魚の様に虚ろな瞳へと変わっていったのである。もうそろそろかと思っていた矢先、響子の瞳に少しずつ光が戻っている事に気付いた。希望を取り戻したかに観えたのだ。
愛を拒否された様に感じた…。
響子の心の内に智絵がまだ…。
生きている事を知ったからだ。
死んでも…。まだ…。
響子を縛り付ける智絵も…。
そんな智絵を慕う響子も…。
許せなかった…。
愛憎は表裏1体とは、この事なのだろう。愛していた余りに憎しみが膨張し、飽和していった…。
そんな私を観透かしているかの様に…。スマホに着信が入る。
「未来が視えたのですが…。彼女、響子さんでしたよね?明日の夜、あの廃墟ビルの前で殺されますよ…。1つ確認しておきたいのですが…。貴女はどうしたいですか?」
と、あの人は訊いた。




