此のアクアリウムの様な世界で…。④
水瀬智絵が自殺したと聞かされた。聞かされる前には知っていたから、特には驚きはしなかった。何故なら、智絵が飛び降りて死ぬ事を【ある人】が教えてくれていたからである。
だから昨日。私は智絵の後を付け自殺の様子を、此の眼で観察していたのだった。どの様に飛び降りて、どの様な落ち方をするのか知りたかったからだ。
落ちた瞬間に柵の方へ駆け出し、薄手のゴム手袋を嵌めている手を柵に掛け、身を乗り出した。地面にうつ伏せの状態で叩きつけられた智絵が視界に映り込む。智絵から少し離れた場所に眼鏡を掛けた男の人が、座り込み放心していた。
『よいなぁ…。特等席じゃん…。』
そんな言葉が頭に浮かんだ後、もう1度智絵の方へと視線を泳がせ、血溜まりの上に倒れている智絵を観た。水槽の真上から観た魚の様に…。ピクピクと身体を痙攣させている。私の身体もピクピクと蠢き、痙攣し快感が身体を突き抜けた。
暫くしてから冷静になる。
すると…。ある考えが浮かんだ…。
『あの眼鏡掛けた男の人に私の姿を視られたのではないか?』。
怖くなった私は直ぐに階段を下り、裏口からビルを後にした。微かに震えた身体を両手で押さえ付け、大丈夫。と自分に言い聞かせていると…。スマホが着信を告げた。
「そうなる未来は視えていました。手は打ってあるので安心して下さいね…。」
その言葉を残して通話は切れた。




