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不条理劇 貴女へ
私は廃墟と化したビルにいる。数年前までアパレル関係の事務所に使われていたビル。ビルの中には、朽ちたマネキンが乱雑に倒れている。此処は貴女が飛び降りて死んだ場所…。
貴女は【生贄】になったのでしょう?
貴女が持ってた身代わり人形…。左眼が無くなってたんだよね?私、聞いたの…。左眼が無くなった人形は【生贄】の証なんだって…。
貴女は逃げられたのね…。
この世界の不条理から…。
でも…。
其れが正しい選択だったのか…。
私には解らない。
『ねぇ…。知ってた?』
『私は貴女を愛してた。』
『貴女は気付いていなかったでしょう?』
貴女が存在しない世界は…。
まるで色褪せた絵画の様…。
貴女が居なくなって…。
不条理の矛先は私に向けられた。
次は…。
私が…。
【生贄様】に選ばれるのでしょう。
私の身代わり人形…。
貴女の時と同じ様に…。
左眼が無くなってたから…。
きっと…。
私には耐える事が出来ないと思う…。
その時は…。
貴女が待っている世界に行くからね…。
この考えは…。
不条理なのだろうか…。




