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悪夢の欠片 蠱毒
また私は密閉された空間の中にいた。2メートル四方の硝子ケース。硝子の向こうに広がる純白の景色。幾度目かの夢だ。此の後、何が起こるのか私は知っている。
私は飢餓状態になる。浮遊感が漂い、意識は朦朧としていく。ギィィ…。真上から音が聞こえる。ギィィ…。硝子を擦り合わせた時の様な不快な音が木霊する。ギィィ…。ギィィ…。
天井が歪にスライドしていく。そのスライドした隙間には巨大な瞳があった。ソレは此方を視ている。覗いている。
スライドした天井からは数多の生物が降り注いだ。
蜥蜴。百足。蜘蛛。蠍。蝦蟇。蛇。蛞蝓。
其れ等は、ある種の毒を持ち、ある種の細菌を纏っている生物。生臭い匂いが辺りを覆い尽くしていく。艶々と体液を光らせた生物は、私を埋め尽くした。
呼吸困難に陥り、深く息を吸うと、毒性のある生物は、唇の隙間から肉体の内へと入り込んでくる。ヌメヌメとした感触が喉元を通過すると、粘着性の液体が口から零れていく。やがて其れ等は肉体の内を這いずり廻り、胃液で消化され毒性物質だけが残る…。
そう。毒だけが残るのだ。




