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錯覚
不思議なもので幾度も幾度も覗き視をしていると、私が、妻を抱いている様な錯覚を覚えた。私は名も知らない青年となり、名も知らない青年は私となった。そうして私は…。もしコレが現実なのだとしたらと考え初めたのだった。
だがどうであろう…。現実の私は男性としての機能が無くなっているのだ。どうすれば、あの名も知らない青年の様に妻を喜ばさせる事が出来るのだろうか?獣でもあるかの様に本能に忠実に、妻を抱く事が出来るのだろうか?様々な薬品を試してみたのだが効果は無かった。
『あぁ…。そうか…。』
『だったら自分で創れば良いのか…。』
『獣の様に欲望に忠実になる媚薬を。』
『【理性を殺せる】程の媚薬を…。』
『【想いを殺してしまう】程の媚薬を…。』
そうして、私は独自に媚薬を創る事に没頭していったのである。幾度も幾度も施工をし改良を重ねていった。然し、個人でソレを成し遂げるのには限界があったのだ。必要な薬品も手に入らないし、資金も無い。思い悩み苦しんでいた私に、運命的な出逢いが訪れる事となった…。




