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意識の狭間
目眩がした。意識が微睡み、夢を見ている感覚になる。僕は夢を見ていた。
僕はアクアリウムの中にいる。ユラユラと水の中で揺れている。光と影のコントラスト。僕の他に3人の女の子も揺れていた。
1人の女の子が水底の方へ泳いでいき、一心不乱に頭を水底へと打ち付け始めた。打ち付ける度に水流が生まれ、僕の身体は激しく揺れた。少しずつ少しずつ綺麗な水は赤色に染まっていく。その女の子は美人だった。でも、青白く幸の薄そうな顔立ちだ。見覚えがあった。いや、忘れる事は出来なかった。あの飛び降りた娘だ。
その美しい顔は打ち付ける度に…。
肉が膨張した…。
みるみると…。
肉瘤が生まれていく。
グロテスクなモノを包含する奇形性。僕はソレに見惚れていた。美しかったのだ。愛おしかったのだ。美しい顔が肉瘤へと変形していく、その様に心を奪われていった。鼓動が早くなった。狂おしく、もどかしかった。
何故だろう…。
恐怖で満たされていた筈の心は…。
その恐怖に美を求め始めている…。
だからなのだろうか…。
気付くと…。
僕は此の場所にいる…。