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憂鬱な天国 Ⅰ 幽霊  作者: 倉木英知
手招きする幽霊 
102/106

幽霊に生贄を捧げる。④


 「なぁ。お前…。悪夢の様な夢視た事、あるか?現実的であり虚構的な夢。例えば其れは過去の記憶で有り、欲望の成れの果て…。そんな夢だ。」

 天乃は無機質な表情で訊く。


 「…。」

 七瀬は無言で天乃を見つめていた。


 「まぁ。其れは、彼奴あいつが得意としている手段なんだがな…。そうだ。お前…。夢の中で女性の綺麗な声聞いてないだろ?」


 「…。」


 「だんまりか…。まぁ。ソレも良いけどさ。聞いてないなら…。お前は選ばれてはいないみたいだな。やっぱりただの生贄だよ…。洗脳済みの操り人形。もう手遅れだ…。」


 「…。」

 七瀬はうつむいている。


 「お前に指示を与えていたのは男か?女か?」

 天乃は【女】を強調して問うた。


 「男よ。中年男性…。」

 ようやく言葉が漏れた。


 「ほほぅ。嘘は吐いてはいない様だな…。下唇を噛んでいないからな。」


 天乃の瞳は深く昏い。その瞳で七瀬を観察していたのだろう。


 「だとしたのなら。やはり【幽霊】が絡んでいるな。あたしの知っている奴は、2年前に死んだ女だからだ。【幽霊】とは…。人が死亡して肉体が消滅しても尚、此の世に未練や怨恨の念が有る為に成仏出来ず、浄土へ逝けない魂が其れらしき姿と声を持って姿を現すモノ。念とは想いだ。彼奴の想いを継いだ誰かがいるんだろう。」


 また瞳の奥を覗き込む…。


 「お前の知っている、その男の名前を教えろよ。」


 「…。」


 「また黙りか?まぁ。良いや。其れなら遣り方を変えてやるよ。」


 天乃の声は冷淡になった。

 

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