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憂鬱な天国 Ⅰ 幽霊  作者: 倉木英知
手招きする幽霊 
100/106

幽霊に生贄を捧げる。②


 ギィと音を立て扉は開いた。天乃の眼前には七瀬の姿があった。


 「ようこそ。星月・・天乃さん。私、色々と調べたのですけれど、生贄様から逃れる術は無いみたいです…。」


 「ほほぅ。と云う事は…。あたしも猫を被らなくて良いって事だな。助かるよ。狐狗狸こっくりさんの様に騙し合わずに済むからな…。あたし達は、狐でもおおかみでも、ましてや狸でもないし…。」


 七瀬は真っ直ぐ、天乃を視界に捕らえている。そして…。えぇ。遅かれ早かれ、こうなっていたみたいなんで…。と云った。


 「じゃあ。単刀直入に聞くわ。お前…。」

 と言葉を区切り…。何処まで関わっているんだ?と訊いた…。


 「何処までとは?」

 「生贄様を考えたのはお前じゃないよな。生贄様を考えた奴、知っているのか?」

 「知ってるも何も私が考えたモノよ。」

 「嘘吐くなよ。生贄様を考えたのは…。」


 天乃は冷静に七瀬を見つめ…。


 「笠原・・慎二・・って奴だ。」

 「笠原?誰それ?」

 七瀬の表情が曇る。


 「違うわね。生贄様を考えたのは私と…。」

 そう云いかけて七瀬は1呼吸置き…。

 「誘導尋問?小賢しいじゃない。騙し合いは止めだって言ったクセに…。」

 と嗤う。


 「そうか…。名前すら記憶してないんだな。お前にとって笠原は、記憶するまででも無い相手だったのか…。まぁ。そう云う事だとしたなら、お前も利用されていただけか…。所詮は、ただの小者って訳だ…。」

 天乃は挑発するかの様に…。

 言葉を投げつける。


 「どう云う意味よ…。」

 「どうもこうも無いよ。言葉の通りだ。お前も生贄の1人だったって事だ。まぁ。あたしとは【生贄の意味】が違うがな…。だとしても、お前も生贄だよ。生贄。」


 2人の間の空気が変化した。


 天乃は呪言の様に言葉を重ねていく。


 「今回の1連の事件。お前は理解していないみたいだな…。そりゃそうか…。三件・・の事件が絡み合っているのだから…。無理ないか…。誰の描いたシナリオなのかは、今の処、解らないけどな。」


 天乃は七瀬の方へと1步近付いた。

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