第1話「社畜な俺の過ち」
やあ、初めましてかな。皆、転生だとかやり直しとか信じるか?俺は信じるね、実際に俺は神になったのだがら……まあ、神と言ったとしてもみんなが思うような天地創造したり大審判を下したりするわけではない。俺は元々皆がいた地球もしかしたら世界線?みたいなのが違うかもしれないが、少なくとも日本人で社畜として日々心を消費しながら働いていたんだ。信念としては、社会の歯車に従い己の仕事をしっかりとこなし、人の心を考えない効率重視な仕事……をしていたのだが恨みを集めていたのかもしれない、駅のホームで押され電車にはねられてしまったのだ。俺が死んだら面接のような会場でこういわれたんだ。
「あなた神になって仕事しませんか?」
こんな胡散臭い話なんてあるわけないと思ったね。でも俺、死んでるんだ。
「神にならないとあなたという存在が記憶の無い魂になり別の世界に生まれ変わることになりますが……」
要するに俺という個体が消えるわけだ。こんな話聞いてしまっては神にならないという選択肢は馬鹿じゃなきゃ取らないだろう。こんな感じで一応神の一人になったのだがこの世界は現実世界と変わらないようなものだった……わけだが、俺は日々の仕事を通じて様々な感情に触れたり、この世界の歪みに疑問を得たりもした。知らなければ良かったのかもしれないし、実際知らなければ何とも思わなかっただろう。地球で例えるのなら闇の政府だとか都市伝説的な物だ、自分語りが過ぎてしまったな。ここに記載する出来事は本当にあった話だ。おそらく一部の人しか知りえない情報が含まれるため、観覧できないかもしれないが、この出来事を頭に入れ世界運営ができることを望む。
これ以上の閲覧は権限レベル5以上の職員又はそれに準ずる立場であることが求められます。
ピリリリリピリリリリリピリリリリピリリリリリーー
「うげ、寝坊した」
今日は転生者観測の報告会があるため、早く起きるために目覚ましを設定したはずなんだが……これは仕方がない急ぐしかない。普段はバスを使うが通勤の時間は良く遅延するため自転車で駅まで頑張り、満員電車に揺られていった。会社にはギリギリ到着した。ギリギリである。
「あら、珍しい。遅刻ギリギリなんて」
上司である。普段は静かだが無駄に怒らせたらめんどくさいので適当に謝っておく
「時間ギリギリで来ると逆に心配になってしまうわ」
心配させたのなら申し訳ありません。と軽く謝っておく。社会人?であるのだからしっかりと余裕を持った行動は求められるだろう。
「目覚まし時計の設定を忘れてしまいました……」
貴方でもそんなことあるのねと言われ、当たり前だと思いつつ。時間となり会議室へ向かう。今日の会議の内容は異世界転生における転生者横着問題だそうだ。資料が配られたのでその例に目を通そうとしよう。
1、現代文明の知識を自分のために使いスローライフと称し横着している。
2、転生の恩恵を利用しその世界で猛威を振るい、治安を悪化させる。
3、転生の恩恵を持っているのにも関わらず、永遠に雑魚モンスターを狩る。
4、転生の恩恵を「お前と行く」といい神を連れて転生する不届き物が増えている。
5、転生したのにも関わらず、女を蔓延らせ問題解決もせずいい気分になって横着している。
6、現代文明の知識を利用し異世界で文明バランスを崩壊させる。
7、ロールプレイを楽しみ自分の目的を忘れ遊んでいる。
等々……
俺も異世界転生してスローライフしたかったわ……なんで俺は死んでもなお働いてるんだよ。羨ましい。
この会議も今日で第47回目の会議だからいい加減見飽きたわ。ちょくちょく意味が分からないのが入ってきたりして面白い。問題解決はしたいが、発言したら自分がその件をやらなければいけないから誰も対策案を言うことは毎回ない。俺らが一番横着してるのかもしれない。
「ほぼいつも通りの内容だがこの問題をどうするべきか話し合いたいと思う」
勿論誰も口を開かない。てかさ、神を連れて転生させるとか我々の人員不足にも関わってるだろ。俺被害者だろ絶対。ここで、日本において優秀なサラリーマンだった俺は評定をあげるべく抽象的な発言をする。俺の発言に追加した奴がその仕事をすることになるだろう。
「何かしらの方法で監視をして、メッセージを送れば良いのではないでしょうか」
よし、これ以降俺は発言しないからな。今日のお昼ご飯何食べるか考えて脳死してるか。寝坊したから眠いなzzz......
「転生者観測委員会を設置し問題転生者に人員を派遣することにする。今日中には追って連絡が行くと思うから、それに従ってくれ。」
寝ちゃってたか、珍しく解決策を練って実行に移しているな。デスクに戻るか。でも本当に、無駄な会議だよな横着してるのマジで俺らだって……そんなことを考えつついつも通りの仕事をしっかりとこなし、いつも通りの三郎系ラーメンを食べる。そういえばラーメンとかあるんだなとか今更思いつつデスクワークを続けていた。そしたらざわざわと周りが少し騒がしくなってきた。さっきの新しい転生観測委員会に関する、人事に関してだろう。無駄にこういうことは動きが早い。俺も見に行くかその時上司から
「おめでとう……じゃないわね。一応昇格なわけだし転生観測委員会の責任者頑張りなさいよ」
俺は衝撃を受けた。抽象的に言ったのにも関わらず俺のアイデアとして責任者という立場になってしまったのか……
「因みに本来こういった委員会の人数は100人は超えるのだけれど、ほら、人がいないみたいじゃない?だから10人だけらしいわよ」
色々と慰めてくれるがかなり悲しい。10分の1とか何を考えているのだろうか……仕事だから努力はするが。俺は地球時代したこともなかったパチンコをして帰ることに決めた。様々な世界の娯楽をこの神の世界では楽しめるため娯楽に困ることはないのだ。何故か地球の文化だらけだが……遊べるのだからよいことだ。