第六話 毒
聖女から飲み物を奪い、一気に飲み干した。
「う…ぐぅ……。」
痛みに耐えきれず倒れ込む。周りから同様の声が広がった。
飲み干した喉が痛い、上から下に酷い痛みが広がりドンドン意識は手放せなくなる。
そうしてついにその意識を手放した。聖女の悲鳴を聞きながら。
「…さま、……めさま!ひめさま!!」
「んん……このこ、えは。」
「良かった、目が覚めたんですね!」
「本当に、良かったですね聖女様。ずっとお傍を離れず心配そうに見ておられましたもの。」
「ちょ、メイドさん!?」
「ふふ、失礼いたしました。私は失礼いたします。」
僕が眠っていた間にメイドと仲良くなっていたらしい。
親し気に会話をしている中、僕は膝に残るぬくもりを感じる。それは聖女がずっといてくれた証拠であった。
「こほん…それで怪我などは大丈夫ですか?治したのですが自信が無くて…。」
「えぇ、ばっちりです!それにしても解毒までできるなんて驚きました、流石聖女様ですね。」
「訓練した結果が出てよかったです!…これで姫様の役に立てますかね?」
「…とっくに役に立つどころかかけがえのない存在ですよ。」
その言葉に照れたように笑った聖女は可愛らしかった。
「姫様、聖女様。お目覚めでしたら来るようにと王様からのご伝言です。」
「分かりました。」
「で、でも姫様は目覚めたばかりですし…。」
「大丈夫ですよ、聖女様のおかげでもう元気いっぱいです!」
「だ、駄目ですよ!やっぱり安静にしていないと…。」
この問答は聖女が折れるまで続き、いつもと反対の姿に待っている兵士も微笑ましく見つめるのであった。
いつも話が短めになってしまう(-_-;)