未来改変について
例の陛下について考えてみたいと思う。
勿論、未来改変が使える
『ユーハバッハの能力』のことである。
筆者が常々思うことに、
『果たして未来が見渡せることは幸せだろうか?』
というのがある。
キッカケは陛下の能力、
『全知全能』
の描写を見たときである。
寝ている時に、いきなり
『自分が刀で斬られる未来』を予知する陛下。
そして、
『……朝か。いい夢だ』、
『夢は悪夢ほど素晴らしい』。
そう言って、哂う陛下。
私はビビった。
『予め未来が視える』能力には
『朝も夕も夜もない』。
『全知全能』の陛下は、
『常に、悪夢に魘され続けている』。
それ故のハッシュヴァルトの、
『夜の支配者の仮面』。
それは、一側面として
陛下の『未来への恐怖に耐える相貌』、
でもあるのではないか。多分。
つまり、
『全知全能』は、
『未来の恐怖や運命を予め全て識っている』。
そして、
『全知全能』は
それを『予め覚悟する』ということ。
自身の能力が『強いとかどうとか』ではない。
おそらく、予め強くなければ、
『全知全能』には
耐えられない、のではないか。
一見、無敵に見える
陛下の『未来改変』に関しても
対応できるのは、おそらく
『予め、自分が予知可能な未来』、
もしくは『陛下の力が及ぶ未来』
だけなのではないか。多分。
最後、一護に倒されるのは、
『陛下の未来改変が及ばない様な、絶対的な力』
によるもの。
つまり、『陛下にも理解不能な力』。
それ故の、
「お前が見せた夢だと思っていたよ」
「ハッシュヴァルト____……」
……なのかな、と思う。多分。
陛下の能力は、一側面において、
『自分の力が及ばないかも知れない絶対的なモノ』
に、『常に怯え続ける能力』とも言える。
それでも、陛下は
『自らの悪夢に対して哂う』。
それは、
『何れ敗北する自らの運命』を
『予め識った上で哂う』
という行為でもある。
『……朝か。いい夢だ』、
『夢は悪夢ほど素晴らしい』。
つまり、
『全知全能』は。
絶対的な力を持ちつつも、自らが
『何れ死す時点を予め予知し、
それを覚悟して、常に待ち構えている』。
それが『絶対条件』となる能力であろうか。
自らの墓碑銘を、常に目前にして生き続ける様な人生。
それ故の『深い眉間の皺』……
……陛下どんだけ耐えてきたの?
『千年以上』……?
……そのように、筆者は思う次第である。
未来が見渡せるのは、
『決して幸福ではない』。