こわれたコップ
透明なガラスのコップがひとつ。
欠けたコップ
こわれたコップ。
そのコップに、水をとくとく。
水を入れると、びちゃあああ。
コップに注いだはずの水が、テーブルにびちゃあああ。
それはそうだ、コップは欠けてるんだもん。
どんなに水をとくとく注いでも。
水は、欠けてるところから零れる。
どんなに注いでも、零れる。
これが、100均で何となく買ったものとかだったら、
別に買い換えたりすれば済むことだけど。
これが、誰かのプレゼントだったり。
誰かの形見だったり。
替えがきかないものだったら、
壊れてしまったらそれまでで。
だから。
壊れないように。
壊さないように。
大事にしたいね。
私のコップを。
君のコップを。
心という器を。
愛情が注げなくなったら大変だからね…