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SOYUZ ARCHIVES 整理番号S-22-975  作者: Soyuz archives制作チーム
最終章. 神の棲まう城
317/327

Chapter290. Final Stage: Never Ending Rain

タイトル【ファイナルステージ:止まない雨】


城に突入したSoyuzだが、待ち受けていたのは地の底から地上に出て来た悪夢 装甲魔竜(アーマー・ドラグーン)



火力の綱のAMOS-VTTは連射が効かず、ましてや誤射の恐れから内部への支援は出来ない。



他にも増援がやってきているのは事実。


だが、ここで引っ掛かってしまっている状況だと言うべきか。



故にMonaco054ことCV90の54号と貧弱な武装のVTT装甲車でどうにか時間を稼がねばならないのだ。



QRRRRRRRSHHH!!!!!


———DAMDAMDAM!!!!——BLADADADA!!!!!



鋼鉄の音が響く。

お互い竜を中心に円を描きながら履帯を軋ませドリフトし、ひたすら主砲を撃ち込んでいる。



この魔竜は先ほどの赤トカゲとは防御・火力もさることながら、反応速度が恐ろしく速い。

少しでも動きを止めたら最後。


闇のブレスでどうなるか知れたことか。



ようやく魔力の霧が晴れ始め、肉眼でも視界が開け始めて来た。

カーレースショーのように真円を描き続けるCV90と323装甲車がすれ違う。



生まれも育ちも、開発経緯も何もかも違う装甲兵器たちが集い、強大な敵に立ち向かう光景が見ることができるのはここだけ。



次に遭遇した場合、敵かもしれないのだ。



しかし止まない雨が無いように、濃霧が晴れて来たことで分かったことがある。



出現した当初より、あのレンガブロック。

恐らく何らかの装甲が明らかに減っているではないか。



実際の戦車に装備される爆破反応装甲も実は消耗品。

攻撃を防げればよいので総攻撃を受けると剥がれてしまうことがある。



そして他者(よそ)。つまりVTT323の攻撃が見えるようになってくると攻撃を如何に防いでいるのかが見えてきた。



どうやらあのレンガブロック自体が飛翔体を感知、起爆して弾そのものを消し飛ばしているらしい。



実際のERAは感度が調整されており、銃弾程度では反応しないようになっているが、帝国の装甲は偉く過敏。



ある程度速度が出ている物体が近づいてきた時には、機銃弾どころか拳銃弾。

榴弾の破片でも反応してしまう。最初に違う爆音が響いてきた正体は恐らくコレ。



迫撃砲弾の破片を感知してしまっていたことになる。



理屈はどうであれ、悪足掻きとして撃ちまくっていたことは正しかったのだ。




しかし足を止めたら即座に餌食になるこの状況。注意を引きはがすので精一杯で

トドメは自分達では刺せない。



CV90は新しく射撃精度が良いとは言っても自分にターゲットが向いている。



2両で乱射し、装甲を剥がした箇所は喉・腹・背中。大方4割弱といった所。

威力は兎も角、正確な砲撃や射撃できる存在に仕留めてもらう他ない。



【Monaco054から各車!誰か仕留めてくれ!効くのは喉か腹だ!】



車長は声を上げた。

もうそれは、嘆きや祈り。誰か助けてくれという悲痛な叫びとも思える。


戦場の中では誰の声も地獄のような音でかき消される、ハズがない!



【Beongae06 了解】



ボゥール曹長がそう答える。

ここには無数の仲間たちがいた!



戦っているのは彼ら三人だけではない、城や帝都を包囲した夥しい数の装甲兵器。



逆に見てみればたくさんの仲間たちが背中についている!
















—―――――――――――














大事な大役を受けた曹長は双眼鏡を手に取り、どこを狙うか吟味する。

他の戦車たち。


C1やらT-72も同じようで同じく、車長がハッチから身を乗り出しゴーグルを覗いていた。

倍率を凝らしてみると、確かに装甲が剥げている場所がある。



さらに視線を下に向けてみると、ひたすらぐるぐると回りながら乱射する装甲車の姿が。

彼らは自分たちに賭けているのは言うまでもない。



残されている時間はあまりないだろう、装填はもう終えている。あとはトリガーを引かせるだけだ。



「1時方向、距離400。弾種APFSDS。ERAを避け、撃て!」



———ZDaaaaaAAAAASHHHH!!!!



3発の轟音が轟く。


発射された砲弾は凄まじい圧力をかけられ加速。

途中、固い断芯を包んでいる筒が分離。装甲を貫くことに特化した徹甲弾が一気に加速する。



3本の矢が魔竜の喉笛に突き刺さり、凄まじいエネルギーが肉を引き裂いた。


一発が大きな血管を、


もう一発が神経を。


さらに一発が骨を。


魔竜は怪物など呼ばれようとも、立派な生物に過ぎない。

生きるのに必要なものを全て失ったこの竜は倒れた。



蘇った悪夢の一部は遂に殺すことができたのである。


CV90の車長は一息をつく。



「……手間、取らせやがって……」



これで進める、階段を一歩上がれる。

しかし、コンクールスはそれを許さない。














—――――――――――








VAAAP!!!!———QEEEEEE!!!!!



聞きたくない音が轟いた。

地下から昇降機が上がっていく、金属が擦れ蒸気の混ざった忌々しい叫び。



血濡れの兵士、エレベーター担当がまだ砲火の中で生きていた。

破片でズタズタになりながら、今にも灯が消えてしまいそうでも彼は挫けなかったのである。



「Haf……Haf……これで……終いだ……クソッタレ……!」



射殺するまでもなく兵士は力尽きるが、何かも遅かった。

カゴが到着すると扉が自動的に開き……



そこにいたのは小さなベストレオ。すべてを破壊するために作られた殺戮兵器(デウスエクスマキナ)



太古の昔、神のルーツは神話の世界までさかのぼる。

この世界の人間はオンヘトゥの怒りに触れ、愚かな人類を滅ぼすために送り込んだ13使徒の1つだという。



虐殺だけに特化した超常的存在の名前を得た兵器。

その縮小模型が立ちはだかっている。



帝国に足を踏み入れたSoyuzスタッフは誰もが知らされてきた、二足歩行型 国家蹂躙兵器。



悪趣味に「Mede by IMI ORIGINAL」だの、「Plush toy」つまりぬいぐるみだとマーキングされている。作ったヤツの性根は腐っていると見て間違いないだろう。



更に口、つまり砲身は既に極彩色の光を纏い、予断を許さない状況。



VoooOOOOMMMM!!!!!



相方のVTT323が猛烈な勢いでエンジンを動かし始めたではないか!



【突っ込むぞ!!!!!】



つなげたままの無線がある人間の声を伝える。間違いない。

GUN CAREER072の車長だった。




VEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!!!!!



出撃と同時に即座に強烈な光線が放たれる。



「ぬおおおおお!!!」


操縦手が精いっぱいハンドルを切り、熱線を間一髪で躱した。

装甲車の付近を掠めるが、余波で側面装甲が溶けて吹き飛ばされてしまったではないか!



突き抜けていった先。城壁に直撃すると、マグマのように真っ赤に染まるほどの威力。



直撃すれば装甲車どころか戦車ですら燃やされ死ぬ!

装甲車乗員の全てがそれを本能的に察知していたのだろう。



絶望的な脅威を潰す、その役割を果たせるのは彼らのみ。



車長は奇跡的に無傷だが、残念なことに幸運は使い果たしてしまった。



「ぶっ殺してやる……!ありったけの弾をぶち込め!」



一人でに動いている辺り、無人機なのだろうが考える猶予など与えてはくれない。



DALATATATATA!!!!!!!!!——GASHHH!!!!



連装機関砲を赤くなるまで乱射しながら突撃。


大事故さながらに車体が拉げても、エンジンは止まることを知らない。

エレベーターの壁さえも破壊し破竹の勢いで進む!



馬力にモノを言わせ、さらに壁に押し付けて潰そうという魂胆だ!



密着しながらも射撃しながら壁へと距離を詰めていく。



いくら機械仕掛けの神でも、縮小模型(スケールモデル)

ご丁寧にぬいぐるみと書かれている以上、穴だらけにされ抵抗することもままならない!



更にベストレオ特有の弱点がこの状況を絶望に陥れる。


砲そのものが撃てても、砲身を維持するためにクールタイムが必要なのだ。

つまりどうすることも出来ないまま、壁に押しつぶされる運命を辿ることになるだろう。



——GASHHHHHH!!!!!!!!!



「AHHHHH!!!!!!!!!!」



直後、戦場では聞きなれない異質な音と共に通信が途絶。

猛スピードで壁に圧着されたベストレオ・プラッシュトイは潰れ、物言わぬ鉄屑と化した。



その様は醜く、打ち捨てられたガムの包み紙と大差ない。



戦闘不能になった装甲車とそのクルーは、頑丈な装甲に守られたお陰もあって奇跡的に生きていた。

日頃の行いが功を奏したのである。



アドレナリンで体を動かし、脱出できそうなハッチから乗員は脱出。

頭から血を流しながらも転輪にもたれかかって、誰もがこう言葉を捻り出す。



「今度こそ……地獄に……落ちやがれ……!」



そう言い残して彼らは気を失った。















—―――――――――














——Soyuz側陣地



「————AH……なんだここ……死んだのか?」



真っ先に目覚めたのはなんと操縦手。



衝撃をもろに受け、重症どころか即死でもおかしくなかったが、やはり日頃の行いが良かったことも奏したのだろう。



頭に包帯をぐるぐる巻きにされ、医療チーム控えるベッドで寝かされていた。

隣にはものすごい怪我をした人間が横たわっている。見るだけで痛々しい。


その視線を遮る男が一人。



「あいにくまだ生きてるよ。お友達に感謝しな」



クルーニーだった。


「しかしおたくら全員頭のネジが外れてんじゃねぇか?装甲車がぺっしゃんこになってて?え?なんで一番怪我ヤバそうなキミが目覚めっかな?人体の奇跡か?」



VTT323の操縦席は車体前方。



つまりエアバッグもへったくれもない軍用車両で、最も衝撃を受けやすい部分である。

気絶するどころか、脱出してから力尽きている有様だ。



とりあえず、マトモな思考能力が働くか確かめるために、彼は人体の奇跡に話題を振る。



「結構長く気絶しててな、今どうなってるか聞きたいだろ?」



「あぁ……中庭はどうなってんだ。逃げ出したことは覚えてるが……あれからは?」



記憶がしっかりしているのを確かめたクルーニーは戦況を語り始めた。



「……中庭は制圧されたよ。そろそろ屋内でドンパチする準備が進められてるとさ。俺は医者だからどうなってるかどうかは他の奴に聞くと良い」



追い詰められた帝国軍。

しかしもう一つ修羅を乗り越えなければSoyuzに勝利はない。



駆け抜けるべく支度が着々と進められていくのだった……



次回Chapter291は5月5日10からの公開となります。


・登場兵器

ベストレオ:模型

全高50m 全長数キロにも及ぶ戦略二足歩行兵器 ベストレオのモックアップ模型。

およそ1/35スケール。

動いて問題はないか、どのようなことが予想されるのかを洗い出すために作ったもの。

主砲の威力はこの時点でもすさまじく、装甲兵器を相手にしても遜色ないものの、装甲はついていない。


凄まじい存在ながら、ハイゼンベルグ博士にとっては玩具に過ぎないのだろう。

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