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SOYUZ ARCHIVES 整理番号S-22-975  作者: Soyuz archives制作チーム
Ⅴ-4. ロンドン海賊殲滅編
294/327

Chapter267. Raid operation

タイトル【突入作戦】

大嵐のような尾道の艦砲射撃が終わると、ロンドン海賊の根城であったエリーシェン島は一部がはげ山となっていた。


まだ新緑が残っている場所と言えば、砲撃を受けていない場所であろう。



怒り狂っていた魔竜やプレウラなどの原生生物は消え失せ、平等に死が与えられたとも言える。

入り口は分かりやすく大きくえぐれ、もう守るものは誰も居ない。



いよいよロンドン殲滅作戦の締めくくり、突入作戦が進められた。



——ロンドン地下壕

第一階層



島の地下を無秩序に掘り進め、地図さえ存在しないという地下壕はRPGなどに出てくるダンジョン。

地盤を手掘りに爆破などの荒っぽい手段で作り上げたのか、坑道という印象すら抱かせるだろう。



先頭を機動力に秀でた勇者とロジャーらのアーマーナイト隊が、後方はジェネラルや戦車などが詰める構成は変わらない。


だがロンドンの作り上げたアリの巣では、不可解なことが1つある。



GoooOOOOMMM……



「ここまで風が強いか?」



一人のガビジャバン式の勇者が呟いた。

地下施設にも関わらず、外にいるのと変わらない風が吹きつけている。



それもそのはず、巡洋艦サウスパークや尾道の地形が変わってしまうほど強力な艦砲射撃で島が抉られているのだから。



だがこのことが悩みの種と化してしまうとは思いもしないだろう。

洞窟などでは外界と通じる入り口が1つだけのため、入り組んでいても出口が分かる。



だがあらゆる角度から風が吹きつけてくると、出口が分からなくなってしまうのだ。

地図も何もない地下壕にとっては致命的なのは言わずもがな。



地下迷宮を制圧部隊が進む。











——————―











三次元方向に移動する迷宮には多かれ少なかれ、下への階層に向かうためのスロープがある。


流石にまだ地表に近いB1フロアには敵が配置されていなかったのだが、死角が出来るため待ち伏せには絶好の場所。



「止まれ、車両とソーサラーで一掃しろ」



ロジャーがすかさずハンドサインを出して足を止めるよう、命令を出す。

すると背後に控えていた上級魔導士たちの方から稲妻が迸った。



彼らの魔導【アドメント】は敵をある程度追尾し、このような戦いにおいては斥候役として非常に有用である。



「————……ァ”ア”ア”ア”ァ”ァ”ァ"ア”ア”ア”ア”ア”ア”ッ!!!!」



……BACHNG!!!



遠くの方で痛々しい悲鳴と何かに物体に接触し、電気が弾ける音が響く。

間違いなく敵が潜んでいる!



それも装甲が付いた厄介な敵も。



【我々が先行する。逃がしたら頼む】



【Two-horn了解】



重装兵隊はアスリートか何かのように走るのを止め、先陣を切るのは機動力に秀でる強化服兵とも呼べる勇者だ。



盾と斧を手にした勇ましき戦士は、雷魔導を喰らって動けなくなったロンドンシーフの頭をカチ割る。

すると視線の端で何か人影が動いているではないか。



人型火葬マシンことソーサラーだ!

しかも片手には魔導反射装甲の大敵である、燃え盛るたいまつが握られているではないか。

ロジャーらが着用している分厚い装甲の鎧。



火をつけられると一瞬で火だるまになることを考えると恐ろしい。



しかも手からは魔法の刃が飛び出てこようときた!

避けるか、たいまつを叩き落すかの二社一択。



だがこの勇者はどちらも欲しくてたまらない。


レーザーカッターのような魔法に対し、盾を使わず間一髪で避けると同時に血が滴る斧をたいまつめがけて放り投げた!



SMAAASHHHH!!



身体能力を強化しているスーツを着ている人間と魔法しか使えない生身の人間。

フィジカルの差は一目瞭然、思わず火種を落としてしまう。



しかし何かを忘れてはいないだろうか。

魔法が飛んでいった先には何がいるのかを。



PHIMM!!


装甲に施されたコーティングが魔導をはじき返した!

この切断魔法「ファントン」は金属に対して切り裂くことが出来ず、逆に消失する。



だがあえて彼は盾を使わなかった。

後方にいるアーマーナイト隊に反射させるために。



はじき返された巨大な刃は、立ち上がろうとするソーサラーを直撃。

スプラッタ映画の如く身体が切り裂かれ前後、違う方向に向けて倒れた。



【火を持った敵がいます。ソーサラーをもっと前に出してください】



【ロジャー了解】


仕掛けられた罠ごとかみ砕きながら進む。








————―






敵が待ち伏せしていたスロープの奥に行けば行くほど、風が強まっていく。

ロジャーの中にある第六感が何かを知らせている。



虫の知らせ、いやな予感とも言えるそれは後々になって見事的中してしまうことになるのだが。

進軍を続けると敵の重装兵が潜んでいた。



盾はなく、3連ランチャーのニースと剣を持っている。前者は対装甲性能、アーマーナイトを貫いて殺す天敵。


敵を見るなり、ロジャーは有無を言わさず走り出す。



剣はソーサラーや勇者。

装甲を貫くニースは2号戦車や隊の脅威になるだろう。



———BLATATATA!!!!



相手が狙いを定めようとした直後、突如体が動かないではないか!

視線の先にいたのはM4を持ったSoyuzスタッフだった。



何も屋内戦闘に参戦しているのは市民の会だけではなく、彼らのスポンサーでもあるSoyuzの人間を参加していることを忘れてはならない。



続けざまに、他の重装兵が畳みかける。腕に取り付けられたニグレードの刃を横向きにして発射!



BPHoooOOMM!!



発射された斧は首周りのインナーや装甲を叩き割りながら、敵の喉笛を断ち切った。

その直後、結び付けられていた鎖が巻き取られてガントレットに格納される。



対装甲斧ニグレードはこう使うのだ。


敵を排除した部隊はより奥へと探索を続ける……







———―





ところで。

後方にいる2号戦車と斧マニアも今の所、忙しいとは言えなかった。



「足腰によかないな……!」



挟み撃ちにならないよう、後方の敵にも注意しなくてはならないのは分かっている。

とは言ったものの、どこにいるのか皆目見当がつかない。



魔法の1つでも撃てれば変わってくるのだろうが、この斧マニアは魔導マニアを兼任していないのだ。


本当に魔導が撃てないのだろうか。


既にアドルケーと呼ばれている、叫べば雷が飛んでくる魔導武器があるのに。

このゲーミングマウスよろしく激しく発光するマジックアックスも実はその1つではないだろうか。



ジェネラルは重たい身体を引きずって、斧を掲げて叫んだ。



「鎧重すぎるだろ!!!!!」



その瞬間。

アドメントよろしく稲妻が刃から飛び出たと思ったら、直線に進むことなく壁に曲がって砕け散った。



【何をやっているんだ、進むぞ】



普通なら真っすぐ飛ぶのが、曲がったではないか。こんなことはあり得ない。斧マニアは深く訝しむ。



「……曲がった?」


【それがどうした】



容赦のない突っ込みが2号戦車クルーから飛んでくる。


作戦開始から挙動が怪しいだけあって妙に冷たいが、彼の声色はいつもの愚痴っぽいものとはかなり違う。


放たれた魔法は真っすぐ進み、しばらくすると突如左に曲がって砕け散った。

人間を追尾する雷魔導アドメントの性質を考えた途端、斧マニアは一つの結論に達する。



「俺の推測が正しければ、敵は前と……後ろにもいる!」



【了解】



知らせを受け、砲塔をぐるりと後ろに向けた次の瞬間。









————―









それに気が付いた時にはすべてが遅すぎた。



BAM!!BAM!!BAM!!



まるで忍者屋敷のように壁から扉が蹴とばされ、大勢の兵が出てきたではなかろうか!

歩兵に魔導士に、アーマーナイト。それぞれ大槍持ちやダールを持った敵が多い。



ガロ―バンを手にしたスナイパーがいないのは、この五人張りの大弓を持って出られなかったのが幸いか。



恐らく、援護を受けられない状態突入部隊を前後に分離し各個撃破するつもりなのだろう。

しかし物事は全て上手くいっては世の中つまらない。



時には待ち伏せを読まれて、さらに待ち伏せられていることだって十二分にあり得るのだ!



ZDLATATATATA!!!!!!



2号戦車の片割れ、同軸機銃が火を噴き、鋼鉄のハリケーンが地下で巻き起こる。

装甲貫徹能力が高けれど、防御力が乏しいのならば何も意味はない。



こうして薙ぎ払われるだけだ。



重装兵が残酷な機銃掃射に耐えているも、それも無駄な足掻き。



DAMDAMDAM!!!!



無機質な砲塔から幾度も、幾度も20mm機関砲弾が浴びせられ蜂の巣にされてしまった。

一矢報いる暇もなく。



【Two-hornからロジャー。敵襲撃を受けた。排除完了】


【了解】



無情にも作戦は進むしかないのだ。









————―







その一方で、完全に待ち伏せした敵を排除したロジャーらはB2へと進もうとしていたのだが、そうは問屋が卸さない。



「隊長、これでは進めませんね」


「ああ」



なんと、スロープの先では天井が吹き飛ばされ青空が見えているのだ。

それはまだいい方で、下へと続く道は崩落しており完全にふさがれている。



恐らく尾道の砲弾が直撃し、ある程度貫通して地下壕ごと吹き飛んだ。



その衝撃で粗雑に掘り進めていた地下壕が崩落して埋まってしまった、というのが大まかな筋書きだろう。



これではより奥へと勧めないではないか。


だがロジャーの中で妙なことが引っ掛かる。



取り残されたロンドン組員が、侵入者の死角となるスロープ下で待ち伏せしていたのは分かるが、後方で戦車や斧マニアを襲った人間は何処からやってきたのだろうか。



「まさかな……一度後退する」



「了解」



こんなところに長ったらしくいたところで、どうにかなる問題でもない。

ロジャーは後退命令を出した。


前の入り口が塞がっているのであれば、考えられるのは一つだけ。

あのスロープ以外にも下の階層に通じる隠し通路がある可能性が高い。



そうでなければ他の場所から兵士を送り込むことは不可能なのだから。



ダンジョンらしい、謎解きが始められようとしていた……



次回Chapter268は12月31日10時からの公開となります。



・登場兵器

アドルケー


士官向けに製造された魔導兵器。見た目はただの凝った剣。いわゆる「サンダーソード」

魔法を使う事が出来ない人間でも電撃を発することが可能。引き金は特にないが、強いて言えば大声で叫ぶと発動する。

こうして放たれた電撃は敵を追尾することから察知に使われることが多いようだ。


売り飛ばせばかなり高く売れる。

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