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Girls In The Showtime  作者: アベンゼン
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侵入

三名の作戦はシンプルだった。


拠点と川を挟んで向かい側に建っているビルの屋上から、拠点の窓に侵入するものである。


「三階、左から六番目の窓の向こうの部屋は無人ね」


ライフルのスコープを覗きながらサクラが呟いた。ローズがうなずく。


幸いなことに日光は分厚い雲に遮られている上、ほぼ無風だった。


しかも、このビルは川の向こう側からはほとんど死角になっている。見通しの良い北側の道は封鎖されており、南側に伸びている道はすぐに内陸に向かって折れている。


その上、戦略拠点でありながら、この方角への監視員が立っていない。長期化・泥沼化している戦局ではままあることだった。


「良くぞこの条件を見立てたわ。トゥルーズ」


四十二番には偶然としか思えない状況ではあったが、確かに四十二番の進言が実行に移されつつある。

フルメタルジャケット弾を装填したサクラのライフルが放たれた。サイレンサーによって発砲音は最低限に留められ、近くの工場の音でかき消される。


伏せているサクラの足元で、ヒュンヒュンヒュン、と短く風を切る音が鳴った。


銃弾の先端に、特殊素材で出来た超極細のワイヤーが巻きつけられていて、弾の軌跡に真っ直ぐに伸びていった。銃弾はサクラが狙った窓を貫通し、恐らくはその先にある床に突き刺さり、どこかで止まったはずだ。


反射すべき強い光がないため、ワイヤーは目に見えない。だが確かに向こう岸まで伸びている。


「成功の手触りだわ。良い感じ」


サクラがライフルから伸びたワイヤーを切り取り、手近な柱にくくりつける。同時に、ゴムと金属の棒で構成されたハンドルを三つ取り付けた。


「どうせもらい物だし、かさばるライフルは置いていきましょう」


サクラはハンドルをローズに渡した。


「トゥルーズ! 危ないのは最初と最後だから、私のすぐ後に続くのよ」


四十二番はうなずいた。ローズは合図や前置きもなく、そのままビルの下へ飛び降りた。


ワイヤーの丈夫さは確かなものだった。ローズは一度視界から消えたが、すぐに向こう側へ滑っていくのが見えた。


「体重の軽いドールズだから出来ることでもあったわ。トゥルーズ、見事ね」


サクラがハンドルを渡してくれたが、四十二番は正直言って「怖くてとても行く気にはなれない」状態だった。


しかし、サクラの満足そうな笑みを見ると、そんなことも言っていられないのだった。


***************************************************************************


NOTIS:警戒レベルⅡ/〟DEVICE〟一点の動作を確認/


NOTIS:対応内容を入力してください/


ORDER:待機続行/


REPLY:警戒レベルⅡでは待機は推奨されません/続行しますか?/


ORDER:続行/


REPLY:ORDERを正常に受理しました/二件の危機管理モニターを続行/


ORDER:今大事になると全てが水の泡だ/どうせ連中にはまだ起動できんさ


NOTIS:ORDERの形式が不明です/ORDERはプロトコルに従って入力してください



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