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Girls In The Showtime  作者: アベンゼン
52/57

反芻


NOTIS:当該デバイスの起動条件を確認/ただちに最大級の災害リスクに備えよ/


NOTIS:警戒レベル7/状況の収束に全戦力の投下が推奨される/


NOTIS:警戒対象の即時の無力化または破壊/完了までの推定猶予時間なし


ORDER:テスト段階のものを含め、稼動可能な全てのミームフォームを投下せよ


REPLY:了解/ただちに作戦行動開始フェーズへ移行する


***********************************************************


 包囲されるよりも早く、バックダンサーたち――旧式の、元は廃棄されたアンドロイドたちが動き始めた。


 既にパルス・コンバーターを破壊している個体たちで、連合政府・モンスーン社いずれの干渉も受けなくなった彼らは、ローズたちと行動を共にすることを選んだ。


 まだ自我を持っているとは言いがたい彼らは、自己防衛のための選択として、より身近で強力なものに身を寄せたに過ぎなかった。


 それでも、ローズたちはその選択に応えた。そのひとりひとりに役割と名前を与え、自らの作戦行動の一環に組み込んだ。


 感情なくこれを遂行するアンドロイドたちは、この状況でも同じように、ガールズの目的に沿って最適な行動に出ただけだった。それはすなわち、「マッドアイランズからの脱出」である。


 既に四十二番の奪還とスタン・フィールド氏の暗殺を完了させていたガールズは、これ以上マッドアイランズに留まる理由はない。


 しかし当然ながら、これを許してくれる状況ではなかった。


 連合政府が準備した部隊は小規模な一個大隊に相当するもので、十分な警戒と装備を持って近づいてきている。


 一方、ガールズの装備は、ライフルをそれぞれ一挺ずつ持ったアンドロイドが数十名、そして出所不明のサブマシンガン一挺、脇差が一振り、短剣が一本である。どれほど肉弾戦に長けるガールズであれど、状況は絶望そのものである。


「聞こえるか、ローズ?」


 ローズのスマートデバイスから音声が発せられた。


「こちらはシグニファイア、訳あって助太刀するぜ」


 けだるい男の声だった。ローズは既にメインステージを抜け出し、他のアンドロイドたちと同じく、森に身を隠している。木の上に登っていたローズは周囲を注意深く確認する。


「ありがとう、こちらローズ。戦況が分かるなら教えて頂戴」


「正直に言おう――万に一つもない。絶対的な不利だ」


「どうもありがとう。何か上手い方法はないかしら?」


「今、連中の軍事行動用のサーバーにアタックしてるが、俺たちも万能じゃない。仮に抑えられたとして、アンドロイド部隊を足止めするくらいだな。歩兵はどうしようもない」


「そう、それでも十分だわ」


「あと、もうひとつ情報がある」


「良いニュースかしら?」


「いや、最悪のニュースだ。ミームフォームが投下されてる」


「そう――」


 ローズは天を仰いだ。いくつもヘリが飛んでいる。


 連合政府と、モンスーン社。


 自分を生み出した、その巨大な二つの権力機構が、今総力を以て自分たちを潰しにかかっている。

 その理由は、やはりよく分からなかった。


 恐らく、抵抗しなければ、密かに生き続けていれば、こんな風に命を狙われることもなかっただろう。

 しかし、元所有者に弓引き、そのうちのひとりを下した。


 それはなぜか?


 ローズは目を閉じて、自問する。


 何故生まれてきたのか――何故戦い続けるのか。


「こちらローズ――『シグニファイア』?」


「サムでいい」


「サム、私に考えがあるわ――私のとっておきの名参謀が考えた、最高のプランだから、ようく聞いて頂戴ね」




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