黒幕
ジェレミーは、自分に最も接近していた人物の排除に成功した。
彼の元上司、マイキーはとても良い線まで来ていた。しかし、推理にひとつだけ誤りがある。
データベースへのアクセスを遮断した人物が、フラワーズに協力的だという点である。
むしろ逆だった。トキガヤミヤコというブラックボックスは、その人物にとっては葬り去りたい過去でしかなかった。
いかに事を大きくせずに沈静化するか、そして一度起動しかかったデバイスを回収できるかが重要だった。
その「特A級の秘匿事項」は、これまでのような嘲笑を受けることももうない――それは新たな軍需を呼び起こすイノベーションとなるだろう。
ジェレミーは、3Dモニターに映し出された「NOTIS」の文字を満足げに眺める。警戒レベルはゼロだ。デバイス起動の恐れはない。
あの四十二番というアンドロイドを確保したことが、あれほど上手く働くとは思いもよらなかった。AIのシミュレーションに、ジェレミーは舌を巻いた。
「やっぱり、それなりに役に立つじゃないか」
その言葉に対し、ディスプレイは「ORDERはプロトコルに従って入力してください」と機械的な返答を返すのみだ。
「さて――」
ジェレミーは思案する。
まだ終わっていない。
マッドアイランズで、三体のフラワーズの息の根を止める。
それがジェレミーのミッションの、メイン・ディッシュである。