吸血鬼の力
「まずお前、吸血鬼って何か分かってるか?」
僕は吸血鬼についてはよく知っていた。
「お前、吸血鬼のファンか」
ブラッドは少し嬉しそうにそう言った。
「しかし、お前の言ったことにはまだ足りない部分がある」
ブラッドはそう言い、
「いいか、よく聞けよ」
ブラッドは教えてくれた。
「吸血鬼ってのは血液が最重要なんだよ」
「血液?」
「そうだ、吸血鬼が高い不死性を持っているのは知ってるよな」
「ああ」
「吸血鬼の血は身体を治癒する。いや、肉体を最適化する」
「最適化?」
「お前自分の身体を見てみろよ」
そう言われ、僕は自分の身体を見た。するとそこにはいかにも健康そうな身体があったのだった。肥満体だった身体は引き締まっていた。前とは全然違う。
「ちなみにお前の年齢も最も良い時期になってるからな」
「若返ってるのか」
「そうだ」
「じゃあ、伝承ってほとんど真実なのか?」
「そうだな、むしろ、俺達が人間に情報をくれてやったんだよ」
それが本当だったら大変なことだぞ。
「まあ、無敵のパワーを持っている代わりに弱点が多いんだけどな」
ブラッドはそう言い、
「真祖くらいになると、弱点が即死系以外なくなっちまうんだけどな」
笑った。真祖とは、純正の吸血鬼である。吸血鬼に吸血されると、自分も吸血鬼になる。吸血鬼は今までそうやってねずみ算的に増えてきた。その中で、最初の吸血鬼、純正の吸血鬼。元人間ではない、自然発生した吸血鬼。吸血鬼の弱点は多い、銀の弾丸や金属の杭、ニンニクに日光、聖水だ。他にもあるが代表的なのはこれだ。しかし、真祖クラスになるとほとんどが通じないらしい。
「お前も真祖の直接の眷属ということを理解しろよ」
俺には及ばなくても相当弱点に耐えられるはずだからな。ブラッドはそう言った。
「まあ、とりあえずお前に初任務を言い渡す」
その言葉に僕の背筋が伸びた。
「そう、緊張すんなって」
今回は簡単なんだから。
ブラッドはそう言い、ニヤリを笑った。
「何、するんだよ」
僕の問いかけにブラッドは
「食事だ」
そう宣言したのだった。僕は硬直してしまった。
人間を完全にやめるときが来たのだ。こうも早くに。
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