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傷つけられる身体
イートの拳が僕の腹にめり込む。普通は後ろに吹き飛ぶはずだが、防御力皆無の吸血鬼が食らう一撃である。拳が腹を貫いた。臓器と血液が穴の空いた腹から出てくる。その痛みは想像以上のものだった。
「そんなものか?」
イートは地面にぐったりと倒れる僕を見下ろし、挑発してきた。殴りたくなったが、腹の痛みで上手くいかない。
「……まだ……だ!」
傷が一瞬で再生していく、腹部に血液を集めたからだ。しかし、再生中の僕に容赦なくイートは攻撃を仕掛けてくる。
「ぐぅぅ」
痛みをこらえる。僕は自身の胸部に手を当てた。まだ、心臓は動いている。大丈夫だ。
「それで……終わりか?……僕はまだ生きているぞ」
僕の傷はもう癒えていたので痛みをこらえ、立ち上がる。もう大丈夫そうだ。僕は懐に手を入れる。
「死ね」
イートが殴りかかってくる。それを見て僕は引き金を引いた。
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