去ってしまった
黒井羊太さま「ヤオヨロズ企画」参加作品です。
おいらの実体はつかめないさ、
あんたがたとえ、月をつかめるとしても。
何よりも足が速いんだから、
おいらの実体はつかめないさ。
おいらがあんたに描かせた絵、
再現できてると思ってるのか?
笑っちまうな。
あんたの再現した絵は、
おいらの描かせたそれじゃない、
まるで違う。
例えるならば、大阪城だ、
想像で建てた、黒くない大阪城だ。
焼け落ちた、天下の城とはまるで違う。
あれはあれで、いい天守ではあるが。
そうさ、
あんたはもう、
……な。
そうよ、
おいらはもう、
……な。
おいらの実体はつかめないさ、
あんたがたとえ、月をつかめるとしても。
何よりも足が速いんだから、
おいらの実体はつかめないさ。
夢で見た絵。
おそらく、夢の中の私が描いたもの。
目が覚めて、夢だったとわかったので、
現実に再現してみました。
なんとなく、形は覚えていたものの、
たぶん夢で見たのとはだいぶ違うのだろうなと思います。
「夢想連歌」という言葉がありますが、あれって本当にできるのかな……?
ちなみに、「夢」はギリシャ神話では「オネイロス」として神格化されていますね……。