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そして…死

それからの時間は瞬く間に過ぎて行った。

ブラッドの様態は悪化の一路を辿っていった。

少しばかりの食事も受け付けなくなったが、1日中ベッドにいるようになったものの窓からの景色に一喜一憂している表情だけは以前と変わらず輝いていた。


「ねぇ、ジョディ。僕は何のために生まれて来たんだろうね?」


それは誰も答える事ができない問い掛けだった。

安い答えなんていくらでもある。

だが、当人への答えにそれが正しいかどうかは分からない。

結局答えなど無いのだ。


「それは分からないけど。貴方が今こうしてここにいてくれるおかげで私は貴方と過ごす事ができてる、貴方に会うことができて、貴方と話す事ができて、私はとても幸せよ。人が人として生きると言う事はそう言う事なんじゃないのかと。少なからず人は誰かの人生に影響を与えてると言う事だと思う。それこそが生きてる意味なのじゃないかしら。だから、私の心で貴方は永遠に生き続ける」


そう言うと、ブレッドは嬉しそうに笑った。


「僕も嬉しい!僕もジョディに会えて良かった!」


そして、その笑顔は私が見たブレッドの最後の姿になってしまった…。

その日の夕方、ブレッドは静かに息を引き取ったのだ。

外に出ていた私はその瞬間に立ち会えず、家に戻った時には既にブレッドはこの世にいなかった。

ブレッドの傍らで泣きじゃくるフレディの横に立ち彼の頭に触れた。

もう背伸びして大人の振る舞いなどする必要が無くなったのだろう。

そんなフレディの姿にいたたまれず抱きしめた。

ベッドのブレッドの顔のその寝顔はいつもと全く変わらなかった。

私は最後に交わしたブレッドとの会話を思い出していた。

私が最後に見たブレッドの姿が笑顔で良かった。

コケた頬に浮かぶ小さなえくぼ。

ブレッドに言った通り、私の心の中には彼は永遠に生き続ける。

彼が生きた証をきっちりと受け止め、悪魔に言った。


「ブレッドをシャルルさまの元へ連れていきましょう、時間が無いわ、早く…」


私達がこれからしようとしていること。

ブレッドの亡骸をシャルルさまの牢に運び、シャルルさまをあの場所から連れ出す。

シャルルさまが亡くなったと思わせ無ければいけない。

監視達の目を掻い潜り、うまくやらなければならない、失敗は許されない、でも、きっと大丈夫。

だって、こっちには悪魔がいるんだから。










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