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暴君王女

ここの世界では絶え間なく戦争が行われていた。

この国の女王は僅か15才だった。

国を納めるにはあまりにも幼く……そして、史上最強の悪徳女王だった。


「女王さま。我が国の財政難は悪化する一方です。何とか対策をお願いいたします」

大臣の必死な呼び掛けにも、女王は然して興味を示さず、

「お茶の葉変えました?味がいつもと違うのですけど……」

フワフワのドレスを着て、ソファーにゆったりと座りながら、紅茶を飲んでいた女王は不愉快そうに女中たちを見渡した。

「勝手にお茶の葉を変えたのは誰です?」

いつも通りの尊厳のある言い方に女中たちは恐怖を感じ何も言えない。

「私の質問に答えられないと?」

女王が言葉を発言することに女中たちはびくりと体を震わせた。

やがて、沈黙に耐えきれなくなったソバカスの多い一人の女中が静かに右手を上げながら口を開いた。

「申し訳ありません。女王さまのお気に入りの茶葉の値段が高騰していたので本日はいつもの茶葉と香りと味の近いそちらの茶葉にいたしました」

女王はつかつかとその者に近付いた。

周りの女中たちは息を殺し、女王の言葉を待った。

「そうなの?そうよね、財政難なのですものね、今。そんな中で気を遣ってくれたのね、貴女名前は何て言うのかしら?」

意外や意外、ニコッと笑顔を見せた。

「は……、はい、私の名前は、ロリーと申します」

「ロリー。覚えたわ。今までうちに仕えてくれてありがとう」

え?

ロリーがそのような顔をしたのは一瞬だった。

女王がパンパンと両手を叩くと、数人の男の使用人がロリーの両腕を掴んだ。

「今度この邸内に新しい宮殿を作る予定なのだけど、ちょうどいい人柱が欲しかったのよね。彼女なんてちょうどいいと思わないかしら?」

ひっ。

ロリーは声にならない声を出した。

「お許しください。女王さま。どうか命だけはお助けください」

男たちの手を振り払おうと体を動かすもののそんな力で振りほどける訳はない。

「お茶の時間にそのような汚い顔見せないでちょうだい、早く連れてお行き」

「お願いします、女王さま、お助けを」

静かな城内にロリーの叫び声だけが響いていた。


このままではいずれこの国は滅びるだろう。

絶対王政のこの世界。

私もこの女王に大切な人を全て奪われた。

それからと言うものこの女王に復讐するためだけに、禁忌の魔力を学び始め、そのチャンスを伺っている。


この女王に仕える私、ジュディ・フォルスはこの暴君王女の所業を一つの本に書き記すことにした。


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