穏やかではない邂逅(sidジン)
主人公達にあった、ジンさん側の話。
その日も、何もない平和な日常で終わるもんだと思ってた。一柱の女神が馬鹿な事をやる前までは。
ーーーーーーーーーーーーー
俺は、自分の神域である灰色の空間で暇を持て余していた。
前までは、上位神の二柱が消えて仕事が増えまくっていたが、ここ最近でやっと落ち着いてきた。
その時は暇な時間が恋しかったが、実際そうなると今度は何か問題でも起きねーかなと考えてしまう。いや、平和に越した事はないんだけど。
ーーそういやぁ、下級の女神がきな臭い動きをしていると報告が入ってたっけか?
「……面倒だが、探ってみっかー」
あぁ、久々に真面目に神らしい事やろうとしてる気がする。でも、どうせ上に話し通さないでの勇者召喚とかじゃねーかなー。重度の勇者という名の、イケメン好きだし。
なんて、その時は重く考えていなかった。
その時の俺よ声を大にして言いたい、お前は馬鹿か。
ーーーーーーーーーー
そして届けられたマル秘報告書。それを見て愕然とした。お気に入り(顔面偏差値だけ高い阿呆)を勇者にする為に、他の人間を連結するって…馬鹿じゃねーの?
こいつ、マジで女神か?いや、実は頭の中はハッピーセットなんじゃないかって思った。
それと、ーーーギリギリ、犠牲になった人間の救済…まだ間に合うんじゃないか?とも。
そう思ってからの行動は早いもんで、馬鹿女神に悟られない様に2つの魂を自分の神域に招く事に成功した。まだ、意識を閉じてる魂達を見て納得した。
「こんだけ生命力?命の輝き?があれば、力も倍増するだろうよ。まったく、碌でもねぇ事にだけは知恵がまわる。」
あと、どっかで見た事あるオーラなんだよなぁ。こいつら。
「あ、手ェ出されねぇ様に結界張っとくか」
終わる頃にはこいつらも起きてるだろ。
ーーーーーーーーーー
目の前には「白くない」と叫ぶ奴らがいた。
起きたんだなぁ、良かったよ。寝たままじゃなくて。
なんか既に、父親の様な心境だ。
ビックリさせない様に声を掛けなくては。
取り敢えず、
「だって目痛くなるだろあれ。」
あ、こっち向いた。…警戒されてる。
……まぁ、時間無いし話をするかー。
「今の状況理解出来てるか?……出来るわけねーか。まぁ、いいこれ回しててくれ。」
持っていたガラガラを渡す。まて、説明する為の原稿を忘れた。…取りに行こう。こいつらにも整理する時間が必要だろうしな。
見られながらガラガラするのもなぁ。
「はやくやっとけよ〜。」
姉がしっかりしてそうだから、大丈夫だろ。
しっかし、馬鹿女神に気づかれるのも時間の問題か。
変なトコで勘良さそうだし。早く送り出さないとな。
ーーーーーーーーーーー
よーやっと戻れた、資料…見つかって良かった。
何やら盛り上がってる2人に顔を向けると、妹の顔がモアイ像・菩薩になっていた。…何話しててそうなったし。
取り敢えず、また2人に声をかてみる。
「よー、ちゃんと引いたかー?」
「変態さん、遅いよ。」ボソッ
ボソッと、聞こえたぞ。
しかし…何だろう、ショックな筈なのに、”モアイ像・菩薩”で言われてもあまり効果が…。
…普通の反応を頑張ろう。
「へ、変態さんだと!?これは好きでやってんじゃねえよ!!」
いや、変態と思われる様な格好してんのが悪いのか…?でも、神々の正装な訳だし…てー事は、古今東西全神類は、変態なのか…?
いかん、迷走してきた。
「あの。というか俺……自分たち死にましたよね? 何でこんな所……ここにいるんですか?」
あ、説明するんだった。”神=変態”説で意識が遠のいてた。
「ああ、そうだった。まだ説明をしてなかったなぁ」
そうして俺は、今日1番の威厳と真面目な雰囲気を出
して語りを始めた。
此処まで来るのに、長かったなぁ。
ーーーーーーーーーーーーーー
駄女神の推しメン勇者について話しまくった。
あと、監視の話も話した。被害者を利用してまでと思うが、これが合理的に考えて理に適ってる。
……すまないが!頑張ってくれ!…俺の、平穏のためにっ!何でも言うこときくからーーー!
その後は、5つの願いを叶えるために願いを聞き出し、4つ目まではスムーズに決まったのだが、問題の5つ目で俺は、2体のマネキン擬きを前にして今絶賛悩み中だ。
誰でもいいので最高の案を寄越せ。外見と名前の。
外見だけと言われていたが、強引な死亡の仕方で名前が欠けて思い出せなくなってやがった。ので、そちらもつける事にしたのだ。
魔力適正、運動神経、頭脳その他諸々なんかは簡単だった。
全部最高レベルのモノをぶち込んだからだ。…別に面倒くさがった訳じゃない。勝手に抱いた親心からだ。
やらかした訳でもないぞ。何でも多い方がいいしな!
結局1人で「あーでもない、こーでもない」とやってるうちに、何とか2人のイメージ通りの体と名前を作る事が出来たのだった。頑張った、俺頑張った。短時間で納得のいく仕上がりになった。
芸術の何かがとてつもなく上がった気がする。
取り敢えず、魂ぶっ込んで…よし、定着成功。
うん、起こすか。
「おーい、生きてるかぁ?」
そう言われて起き上がった双子は、自分で言うのも何だがシックリ来ている。イメージ通り。しかも超beautiful。そう!俺は!頑張ったんだよーー!
「お前らの体はもうできてるからな、てかお前ら死んだ影響で、記憶が若干無くなって名前も欠如してたから勝手に名付けたぞ?」
なんて呑気に会話していた時に、俺の神域近くに問題の女神の”気”を感じた。
うわー、嗅ぎ分ける時間が微妙。此処までやられておいて気づかなかったんだから、最後まで気づくなよ。
…あまり時間は無さそうだな。送るか。
双子への返事もそこそこに、俺は転生の紋章が書かれてる陣に押し出した。
途端にその紋章は光始め双子は光に飲み込まれていく。
「まだ自分の体すら見てないのに?!待って待って、最後に名前!名前だけでも教えて!」
妹が、でけぇ声で言った。あ、忘れてた。
「ああ、そうだった。お前らの名前は姉が『ユラ』、妹ーー弟が『ルキ』だ!転生したらこっちもできるだけ援助するからなぁ!」
転生してから力付けてヤレる間では全力で、何としても、女神に身バレしない様に加護を付ける。
女神と勇者になんかされたら、モンペにでもなってやる。しょうもない事を考えていると、
「「ありごとうジンさん!ジンさんの事はいつまでも忘れないよ!」」
…嫁に出すってこうゆう事か。涙が。
いや、通常に考えろ。いいか、普通の返事を返すんだ普通の。精一杯捻り出せぇ!
「俺が死んだ見たいに言うんじゃねえ!!」
なんて、完璧に嫁に出した気になっていた俺はこの後、女神が中途半端に妨害しくさっていた事に気づいてなかった。
訂正、気づくのが遅れた。俺は無能ではないのであしからず。
保護者にノリノリですね。モンペ…にならないといいですね。主に女神的に考えて。
○○に…されてますしね。