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失われた姫の絵姿

第7章-1 海辺の祈願 のあとがきみたいな話です。

美術史系のメモ。

「海辺の祈願」には、モデルがあります。

その挿絵があったからこそ、この物語が生まれた、とも言えます。


この物語はフィクションですが、「ベリー公のあの時祷書」なるものは実在です。『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』はご存じの方も多いとは思いますが、それとはまた別。『トリノ=ミラノ時祷書』と呼ばれるものです。ベリー公が制作を開始させ、どういうわけか「ホラント伯ヨハン」の手に渡り、おそらくヤン・ファン・エイクが制作にかかわった部分がある、というあたりまでが一応定説となっています。その先は推測というか創作。


「海辺の祈願」というタイトルも定説ではなく、ヤコバとされる貴婦人が頭を下げている相手もお父さんであるホラント伯ウィレム・ファン・ベイエレン(=ヴィルヘルム・フォン・バイエルン)という説と、「ホラント伯」を名乗る叔父ヨハン説があり、この物語では後者のほうを採用してます。

いずれにしても、この絵の中のヤコバ姫は、ほかの肖像よりカワイイというかしおらしいお姿。


なんですがこの挿絵、収蔵していたトリノの図書館が火事となり焼失。白黒の写真しか残っていません。







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