ご対面
「ヒャッハー!ポイントを出せぇ!お皿と交換だァ!」
強盗は巨大な機関銃を店中に撃ちまくりながら叫ぶ。
花柄の刺繍が入ったマスクを被っているのであまり鮮明には聞こえないが、機関銃の音がそれより大きいので心配無用だろう。
終わりが見えない銃弾の雨が店内にいた人を肉塊に変える。
ひとしきり撃ち終えると同時に、二人組の男女が店内へと入ってきた。
「やっぱり食べるの手伝っていただけませんかね?」
「私は小麦アレルギーなんでパンは一人で消費してくださいね」
「初耳なんですが」
滝沢と山崎だった。
「あ、店員さん。肉まん一つ貰えますか?」
山崎はそのまま強盗の横を通り抜け、銃弾を受けてぐちゃぐちゃになった店員だったであろう肉塊に向かって話しかける。
滝沢は散乱したパン棚からパンを腕いっぱいに持てるだけ持ち始める。
「…おい、お前」
二人に気を取られていた強盗は急に我に返り、滝沢へと話しかける。
「あっ、あなたもポイント集めてたんですか?じゃあこれあげます」
滝沢は強盗にサンドイッチを手渡してレジへと向かう。
「…死ね!」
0.5ポイントのサンドイッチを握りつぶし、強盗は滝沢へ向かって機関銃を乱射した。
背中に浴びせられる銃弾の雨。
滝沢は体に無数の穴を開けて倒れた。
生意気なことをするからだと強盗は小声で言い、滝沢が倒れた拍子に床に散らばったパンを拾い始める。
「何するんですか、死ぬかと思いましたよ」
「えっ」
強盗は恐る恐る声のする方へ顔を向ける。
機関銃を頭の上に持ち上げて、自分のへと振りかぶる肉塊が見えた。
山崎は一足先にありったけの無事だった肉まんを棚から持ち出して外で食べていた。