婚約者 Ⅰ
投稿遅くなりすぎて、申し訳ありません。
これからも不定期ですが、投稿していくつもりですので、
よろしくお願いします。
ブックマークに評価本当にありがとうございます!!
いつもと同じ日々が、彼女が来てから変わってしまった。
以前家庭教師に教わっていた時間が、本を見て独学する時間になった。
3人で行っていた視察も、独りで行うようになった。
執務室に持って行っていた書類も、自分で記載するようになった。
それでも信じていたかった。きっと・・・きっと、彼らは元に戻ってくれると・・・
あの何気ない幸せの日が、いつか戻ってくるはずだと、また、ウィリウム様と
歩いていけると・・・
あの時の彼の言葉を私は、信じている。
共にこの国を支えよう 私は、その言葉に誓ったのだから、
何が起ころうと彼を・・・ウィリウム様を信じ続けると・・・
彼は、この国が大好きでとても大切に思っている事を知っているから。
だから、私はこの国を守り続ける。
そうすれば、彼は、笑ってくれる。
・・・
今日も変わってしまった日々を送る。
ウィリウム様は、今日も彼らと同じ様に神子様に会いに行っていると
侍女が知らせに来た。
神子様は、この世界をとても気に入られた。
それは、とてもありがたい事で、神子様が来たことで国民は、活気が戻ってきている。
それは、視察で手に取るようにわかる。
私のしていることは、本当に意味があるのかと考えてしまい、首を左右に振り、
その考えを打ち消す。
意味があるか無いかではなく、ウィリウム様の為に今、できることをするだけ、
それが、私が最もしたい事・・・
彼の婚約者として、立ち続ける為に必要なことでしょ・・・
彼が願うこの国の幸せ、民の幸せ、それを叶えることが最重要項目なのだから、
これで良いはずなのに、私はこの時何故か、とても息苦しかった。
城の自室に戻り、今日の視察についてまとめていると
ミーアが涙を流しながら部屋に飛び込んできた。
「ミーア!?どうしたの!?」
ミーアは、私を見ると更に涙を流し私に抱きついて、涙を流し続けた。
私は、そんなミーアが早く泣き止むように、優しく背中をさすり続けた。
ミーアの嗚咽が落ち着き始めた頃、彼女が口を開いた。
そして、私が最も恐れていた事態を口にした。
「ウ、ウィリウム様が、神子様を、婚約、者にするって!!
リリス様の想いを誰よりも、誰よりも!!!知っているのに!!!
何で、何でですか!?リリス様が、ウィリウム様を誰よりも愛してる事は、
あの方自身が誰よりも知っているのに!!!
リリス様は、ウィリウム様の為に、何もかも捧げているのに!!!
なのに!!!!!!!!!!」
止まり始めていた涙がまた、大粒になりミーアの頬濡らした。
ミーアの涙につられるように私の頬にも一筋の涙が流れた。
「ウィリウム様・・・」
思い出すのは、神子様と楽しそうに話すあの方の姿・・・
きっと、すぐにでもこの事の知らせが届いて、あの方と会うことになると思い涙を拭い、
ミーアに笑顔を見せた。
「・・大丈夫よ。ミーア。」
「・・・リリス様?」
いつものように笑えていない事は、自分でもわかっていた・・・
「たとえ・・・ウィリウム様の心が神子様にあっても・・・私は・・・、
彼を愛しています。
最後の瞬間まで・・・彼だけを愛し続けます・・・」
最後の瞬間・・・ウィリウム様が私を捨て、彼女のみを愛すると・・・
妃にされるその瞬間まで、彼を愛し続ける。
もし、その場で彼に殺されることになっても、
私は、彼を憎まないと確信している。
こんなにも、誰かを大切に好きに、愛することができたのは、
きっと彼だったからだと思うから。
きっと、他の人は、私を愚かだと笑う、それでも、それでも・・・
やっぱり私はあの方をウィリウム様を愛しています。
だから、顔を上げて彼女と会いましょう。
リリス・フィン・マテリアルとして、あの方を愛する一人の女として。