「記-さけび-憶」 4
京介の目に映る光景は静かで慌ただしいものだった・・・
自分の目に映るものがカラーではなく白黒の物であることに気付いたのは後のものだった・・
どこか自分の意識が飛んでいるいるような感覚があり、ここが何処なのかすら忘れそうだった・・
白黒からカラーに戻る瞬間、目の前にさっきの女の子が現れた・・
目の前に突然現れ、俺にこういった・・・
「よく見ておくのよ・・・忘れていけない・・・」
その言葉が頭の中に響いた瞬間、俺は現実に戻ったような感覚がした
俺は立ち上がり、救命処置を受けている母さんの顔を見た・・
目が虚ろになりながらも何かを訴えているような気がした
体に心電装置を取り付けられ、そこに心電が表示されていた、それはとても弱々しいもので今にも止まりそうなものだった・・・
「このままでは死んでしまう・・・」俺はどこかでそう思った・・
「よく見ておく・・・母さんの死にざまを見ておけと言う事か・・・そんな事はごめんだ!!」
京介は看護婦の間に割り込み愛美の手を握った
『母さん!頑張れよ!俺を一人にしないでくれ---!』
無意識だった・・・
「一人にしないでくれ」という言葉は自分の中にも響き渡った・・・
母さんもそんな気持ちだったのかもしれない・・・
今まで理解できなかった母親の気持ちが少し理解できたような気がした
とても身勝手で自分の事しか考えていない、昔の恋人を息子である自分に重ねあわせ・・
その存在に固執し、生きる糧としていたのではないか・・・
そんな存在って人間にあり得るのだろうか・・・必要とする存在・・・その存在が消えた今も尚求め続ける気持ち・・
精神崩壊した今でも・・・・
『母さん!』
俺は無我夢中で医者の手を振りほどき母さんに抱きついた
『君!』
医者は俺をどけようとしたが俺は母さんにしがみ付いた
「ピッ・・・ピッ・・」
弱々しい心音が鳴り響く中、母さんは涙を流した・・・
『母さん!俺だよ、京介だよ!戻ってきてくれ!』
その想いに応えるかのように愛美は唇を動かした・・・
急いで呼吸器の元へ耳を当てた
微かに聞こえる声で愛美はこういった・・
『京ちゃん・・・会いたかった・・・愛美・・ずっと待っていた・・・』
『母さん!』
愛美は静かに目を閉じた・・・・
『うわぁぁぁぁぁぁ---母さん!』
俺はベットの脇に崩れ落ちた・・・
「ピッ・・ピッ・・ピ---------」
『母さんの人生ってなんだったんだ---!』
俺はベットから放された、医者たちは救命装置を使い母さんの胸に電気ショックを与えていた
「キュィィィィン・・・ドクン!・・・キュィィィン・・ドクン・・・」
母さんの体は大きな衝撃と共に跳ね上がるようにベットの上で浮かんだ・・
『もう辞めてくれ!母さんが可哀想だ!!』
『お母さんを助けたくないの!』
一人の看護婦が俺にそう言った・・・
『母さん!母さん!』
看護婦に押さえつけられながら俺は叫び続けた・・・
「キュィィィン・・ドクン!」
数回目の救命を行っている時、心電図に異変が起きた・・
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「ピッ・・・ピッ・・・」
『戻ってきたぞ!京介君!』
医者は俺にそう叫んだ・・・
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